マイナー神どっさり
★★★★★
古代エジプトの神々は、百を優に越えるといわれるほど多い。
そのうちの有名な神々についてを説明した本は多くあるが、それ以外の神々の名前や役割についてを知ろうと思ったら、この本を手にするといいかもしれない。
ハードカバーの重い本。大きくて、持ち運び困難。価格も高い。
内容は、古代エジプトについていくらか他の本に触れたことがある人なら、そんなに難しい内容ではないはず。
有名な神々についてももちろん、そのもつ様々な称号を交えて書いているが、それだけなら他の本でも足りる。この本は、それ以外の多くのマイナー神についてを知る貴重な資料だと思う。
そして、この本が小さな文字であるにもかかわらずこれほど厚いのは、神それぞれを説明するにとどまらず、それを生み出す王権や歴史の変遷、死後の世界観とその形についてまでを、その難解さをそのまま、無理にまとめて誤解を生むことを避けるように書かれてあるからだ。
初心者には決してオススメしない。さまざまな文献からの引用があり、あまりにも情報が多すぎる。悪く言えば、まとまっていないので、理解するのが難しい。
そういう意味では、星3つ。
けれど、基礎を踏まえ、もっと知識を求めようとするなら、この本は宗教観を深く掘り下げてくれるだろう。
まとまりがないのは、詳細を伝えようとすればまとめることができないからであり、
矛盾する情報をまとめずにそのまま載せるのが、逆にいえば、この書の魅力でもある。
もし宗教観に興味があれば、そして古代エジプト宗教のあいまいさ、矛盾を受け入れられるなら、
この本を星5つでおすすめしたい。