学問としての学歴論
★★★★☆
格差問題を論じる際には「○○係数」、「△△スコア」等々、
統計分析に関する用語やグラフなどが出てくるので、私には難しいですが、
この本の場合、そこの部分を読み飛ばしても、後にそれが意味するところが
比較的分かりやすく書かれているので読み進める事ができました。
著者が文中で強調している通り、「政策論」としてではなく、社会「科学」に徹し、
現状の科学的分析に多くを費やしているので、「学歴」という
日本では避けられがちな問題も(私は大いに論じられて然るべきと思いますが)
素直に納得でき、説得的な内容だと感じました。
しかし、そのように客観的、科学的な姿勢を貫こうという中立的な位置の著者にこそ
科学的な「政策」、日本の将来像等、を示してもらえれば「興味深く読めるのに」と少し残念です。
「大学卒」「高校卒」という大きな括りだけでなく、大学の「学校歴の差」に起因する
様々な意識や格差論についても知りたくなりました。
日本の未来を「科学的」に分析した著者の本が次回に出される事に期待しています。