長縄跳びという流れに飛び込む、意味形成と解釈行為
★★★★★
経営学あるいは組織論の先行研究として、バーナード、サイモン、ローレンス=ローシュ、マーチ=オルセン、ワイク、モーガン、ポラーニ、ハイデッカーと展望する。その上で、解釈学的循環と意味形成について論ずる。幸いなことに、著者のこれまでの発表論文の集積であるため、一度ならずとも読みすごした概念や、キィワードについて後追いで再度説明があるので多少、読了を目指した読み方をしても理解を助けてくれる。
解釈学的循環の考察では、全体と部分についての議論において、焦点的感知と全体従属的感知を提示し、包括的全体すなわち対象の意味について述べる。この意味の世界は重層的世界であり、二層完結ではない。上位レベルはさらに上位レベルを見れば下位レベルであり上位レベルを創発する過程を発見できる。創発は、部分からの全体を先取りする過程である。先取りにともなう、飛躍、多義性へと議論が展開する。
従来の、既定の目的達成の手段の探求は、全体から部分への過程への論であった。この点との対比において読み進むと面白い。
なるほど。「教師として教えることはできないが、生徒として学ぶことはできる」(p.251)。
章別の参考文献あり、索引あり、紐あり、もうちょい概念図がほしい。