本書の楽しみ方のひとつ:ペンギンへの異常な愛情
★★★★★
本書は本の装丁に興味ある人たちにはもちろんのこと、ペンギン・ファンにとってもたまらない一冊である。ペンギンという動物をシンボルにしたことで、ペンギン・ブックスは出版社としての不動の地位を築いたといってよい。私自身もペンギンにはいろんな思い入れがある。ときどき本の内容に関係なくデザインで買ってしまうことがあるくらいだ。
個人的には、最近のペンギン・ブックスの表紙のペンギンは昔のペンギンに比べて小さくなった。昔のペンギンはもっと大きかった。と思っていたら、最近リニューアルされたらしいペンギン・クラシックス(名作が廉価で読めるシリーズ)のペンギンは大きい!しかもペンギンが2匹向かい合って並べられている。そしてその右下には「£2」とさりげなく値段が書かれている。デザインがいたってシンプルで、一面に優しい黄緑色が使われている。この感じ、明らかに昔のペンギンを意識している。思わず実物見たさに1冊注文してしまった。
また、本書の表紙にこれまで出版されたさまざまなエディションがずらりと並べられている写真があるが、例えばこのなかにItalo Svevoの“Confessions of Zeno”があり、ムフフと思う。私もこれとまったく同じエディションを所有しているからだ。たしかロンドンの古本市で買ったんだった。
などなど、語り出せばきりがない。コレクター垂涎の一冊であることはまちがいない。