表紙の作品は、ベルト・モリゾがモデルとなり、ドゥアール・マネが手がけた肖像画の代表作『すみれのブーケをつけたベルト・モリゾの肖像』。マネ四十歳、モリゾ三十一歳の時の作品です。『黒い帽子のベルト・モリゾ』とも呼ばれており、荒々しい筆遣いが特徴的な作品で、衣服と帽子の黒色とモデルの黒い瞳が画面の中で圧倒的な存在感を示しています。軽く笑みを浮かべているモリゾの表情は、美しく、落ち着いた色彩の中で輝いています。（一八七二年・オルセー美術館所蔵）
モリゾは、ルーヴル美術館で模写をおこなっている最中に画家アンリ・ファンタン＝ラトゥールの紹介でマネと出会い、その後、マネに大きな感銘を受けて師と弟子の関係になりました。また、マネのモデルも多数つとめ、恋仲だと噂されたこともあったそうです。
印象派の創成期を支えた女性ベルト・モリゾの作品をお楽しみください。

収録絵画

『夢見るジュリー』　　
『蝶々捕り』
『ゆりかご』
『舞踏会にて』
『化粧をする後向きの若い娘』
『寓話』
『湖畔』
『マンドリンを弾くジュリー』
『食堂にて』