ピアノ演奏の魅力を堪能するために
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リーフレットを読まずに、最初のリストの「ラ・カンパネラ」を聴いた時、これはもしかして、と慌てて説明を読みました。やはりフジコ・ヘミングでした。続くリストの「ため息」「泉のほとりで」もそうでした。独特の奏法ですし、解釈ですが、少し聴いただけで演奏家の姿が浮かび上がるような演奏はめったにありません。ピアノ演奏というと完璧に弾くということに主眼が置かれそうですが、楽譜の中に潜む作曲家の感情や思いを浮かび上がらせるような演奏はあまりありませんので、その意味において貴重です。絶大な人気があるピアニストだということがよく分かります。
ミハイル・プレトニョフが3曲弾いていますし、ダン・タイ・ソンが2曲、タチアナ・ニコラーエワ、スタニスラフ・ブーニン、エリック・ハイドシェック、ケマル・ゲキチ、仲道祐子などの有名なピアニストの演奏も収められていました。他の演奏者も当たり前ですが、物凄く上手です。音大生やピアノを練習している人にとって、お手本として聴かれるのでしょうね。かなり幅広い作品からの選曲ですから、ピアノの名曲を堪能したいという人にも好適でしょう。
通俗的な名曲も含まれていますが、今まで聴いたことのない楽曲もあり、楽しみながら4枚を聴き通しました。
リーフレットの解説は参考になりました。誰が書いたのかは分かりません。署名入りで載せてほしいですね。冒頭のコメントを書いた音楽評論家の萩谷由喜子さんでしょうか。
83曲もピアノ独奏曲が収められているわけですから、繰り返し聴いても飽きません。