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昆虫―驚異の微小脳 (中公新書)

価格: ¥882
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:水波誠/著 出版社名:中央公論新社 シリーズ名:中公新書 1860 発行年月:2006年08月 関連キーワード:コンチユウ キヨウイ ノ ビシヨウノウ チユウコウ シンシヨ 1860 こんちゆう きようい の びしようのう ちゆうこう しんしよ 1860、 チユウオウ コウロンシヤ チユウオウコウロンシヤ 4622 ちゆうおう こうろんしや ちゆうおうこうろんしや 4622、 チユウオウ コウロンシヤ チユウオウコウロンシヤ 4622 ちゆうおう こうろんしや ちゆうおうこうろんしや 4622 ヒトの脳に比べてなきに等しい昆虫の脳。ところが、この一立方ミリメートルにも満たない微小脳に、ヒトの脳に類似した構造が見られることが明らかになってきた。神経行動学は、ファーブルやフリッシュを驚嘆させた「陸の王者」の能力を、精緻な実験によって脳の働きと結びつけ、ダンスによる情報伝達、景色記憶、空間地図形成能力など、昆虫の認知能力の
進化を念頭において読むと一層輝きを増す最新知見満載の書 ★★★★★
人間は猿から進化したばかりではなく、もっと遡ると人間の祖先はネズミに似た一種の哺乳類から進化した程度までは、私は素人なりにわかっていたので、もうこれ以上驚かされることはないだろうと構えていたが、本書はさらに驚愕とも言える最新研究成果の連続であった。著者は昆虫と哺乳類の対比を微小脳と巨大脳という比較でとらえ、微小脳を「外骨格をもつ動物の脳」と定義する。昆虫は確かに捕まえてみると外骨格といえるような硬めの組織で覆われており、我々哺乳類は内部に骨格を有している。全く別物である。
実際、約2世紀前にキュヴィエが動物のボディプランを脊椎、節足、軟体、棘皮と4区分して以来、それらが不動として信じられてきた。昆虫という節足動物では神経系は腹を走り、人間(脊椎動物)では背を走り、長い間同一とはされてこなかった。ところがキュヴィエの反対論者のジョフロワは「脊椎動物のボディプランは、節足動物が背腹ひっくり返したものと考えれば同じ」とし、最終的に1990年代にジョフロワが正しいことになった。なるほど、アリをひっくり返せして歩かせれば、神経系は背側となる。つまり、ムカデ、アリ、ミミズ等は脊椎動物と一部共通する遺伝子を持っているようである!私は、以来、ゲジゲジを見て、人間の背骨を連想するようになったし、哺乳類の背骨のレントゲン写真はムカデの体節と非常によく似ているではないか!ジョフロワにしても科学的な推論から真理に到達したわけではなく、神秘思想が背景にあったようである。
 このように「昆虫と脊椎動物の中枢神経系の形成にも、同一の遺伝子群が使用されていることがわかってきた」のは、進化発生生物学のおかげであり、この分野は急速に発展しているという。まずこの点をしっかり押さえておかないと本書の魅力は大きく減じる。
 
結局、進化を絶えず念頭に置いて本書を読むと、最新の知見が一層輝きを増して興味が尽きることがない。
小さく創造されたことの不思議 ★★★★★
昆虫採集が趣味の私にとって、昆虫が何故あのような敏捷で制御の確実な飛翔能力を持ち、また素晴らしい色彩や生活様式の多様さを持ち合わせているか常日頃から不思議で仕方なかったが、この本はヘビーな専門的図示(楽しい)を含め、それらの謎を解説してくれる良書である。 昆虫の脳とヒトの脳が、各々が生きていくために違う構造で創造されたことは、この地球上に生きる全ての生物の存在について、いろいろと考えさせられる。 理系、文系を問わず、生きること、生きていることの神秘を感じ、生命の不思議をあらためて認識するには最適の一冊。高校生物の副読本にもいいかも。
ミツバチの小さな脳はロマンチックなダンスの夢を見るのか? ★★★★☆
 昆虫の脳研究の最前線を、かなり専門的な知見なども含めて紹介した科学書。
 それにしても、昆虫という小さな材料を使ってよくもここまで精緻な研究がなされているものだと驚かされた。研究手法の詳細については、素人の私には分からない部分が多いが、最新の生命科学・医学でのそれとレベル的には大差ないほど高度で先進的な研究がなされていると感じられた。かつてロマンチックに語られたミツバチの8の字ダンスによるコミュニケーションの基盤が、脳内メカニズムとして解明される日もそう遠くないだろう。
 人間の巨大脳とは進化的にも、機能的にも異なる昆虫の微小脳が神経科学的には人間の脳と共通の基盤も有することなど、刺激的な知見に溢れた科学書として、昆虫に興味のある人のみならず、全ての脳研究に関心のある方々にお薦めしたい(H20.5.11)。
昆虫とはなんとすごい生き物なのか! ★★★★★
昆虫と言えばレベルの低い生き物で、とてもほ乳類のような高等動物と比べられるものなどない、と考えていましたが本書を読んで既成概念が吹き飛びました。
あんなに小さな脳のどこにそこまでの情報処理が出来る回路があるのか、彼らの生態を知れば知るほど驚きです。
一見学術書の趣がありますが、語り口は平易で、生物学に詳しくない人にも取っつきやすく、興味をそそられる実験がたくさん出ているため、その意味でもお勧めです。
微小脳から探る“昆虫の繁栄の秘密”と“生物としてのヒトの在り方” ★★★★☆
 全動物種の3分の2を占め、植物の繁殖(受粉)を支える“陸の王者”昆虫。
 高い運動能力。食料や敵、巣や餌場を認知し記憶する力。仲間とのコミュニケーション能力。体の内外の構造を劇的に変化させる変態――これらを制御する昆虫の脳は、容積1立方mm以下、細胞数100万個以下(ヒトの10万分の1以下)しかない。この“微小脳”で、なぜこれほど高度な情報制御が可能なのか?それを我々ヒトに代表される“巨大脳”と比較しながら明らかにするのが本書のテーマ。乱暴にまとめると、我々の“巨大脳”が「複雑なシステムにより、最適の情報処理をめざす」進化の帰結とすれば、昆虫の“微小脳”は「最小のシステムで、最速の情報処理を行う」進化を極めた存在だ。筆者は「感覚」「飛行制御」「記憶」「伝達」など様々な角度から昆虫の“情報処理”を解き明かし、その効率性と高機能を立証することで、「スペックの高さが(生存というニーズに対する)最適解だとは限らない」ことを示す。
 本書のもう一つのテーマは、“微小脳”を含めた昆虫の体が、進化の流れの中でいかに獲得されてきたか。そこから明らかになるのは、遠く隔たって見える昆虫と我々(脊椎動物)の体に、驚くほどの共通点がある――先カンブリア時代に遡る共通先祖において既に、体制や機能のグランドデザインが、かなりの程度、出来上がっていたらしいという、驚くような事実だ。数億年の進化によって、今や全く異なる姿と生き方であっても、我々と昆虫たちは紛れもなく“血のつながった”隣人なのである。この近くて遠い隣人を知ることは、我々自身の長所と短所を知ることにつながる――それが、昆虫の研究を通じての著者のメッセージである。これが一般向け処女作であるせいか、噛み砕き方が足りず、やや読みにくいのが難点だが、非常に興味深い一冊である。