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笹の墓標 (小学館文庫)

価格: ¥690
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
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心が痛む ★★★★★
主な舞台は、太平洋戦争時代の北海道北部山間の雨竜ダム工事現場と、現代の東京、北海道、九州。
この作品のテーマは、朝鮮人強制労働だが、どう読み進んでも、心が痛むばかりだ。
また、現在の犯罪が、当時の強制労働と巧みに絡められていて、内容が濃い。

本書は、強制労働の過酷極まる現実を、嫌という程提示してくる。
ただ、本書の言葉を要約すると、戦争惨禍は砲煙弾雨の戦場のみならず、人間を狂気に駆り立て、
国土とともに精神をも荒廃させると主張するが、全く同感だ。

また本書は、著者が度々主張する大都会東京に蠢く夢と現実の厳しさを突きつける。
それと強烈な対比を成すのが、九州唐津という街の、優しさと温かさだ。

勿論、唐津は作品中の象徴であって、大都会と地方都市とを対比させている。
大都会には多くの夢はあるが、現実はきわめて厳しく、下手をすると、生命まで危険にさらすのだ。

基本的に本書は、現代の推理小説だ。
しかし、テーマはあまりにも重い。

本書のタイトルは、強制労働の多数の犠牲者には、墓碑すらなく、ただ群生するクマザサが墓標であるのみ、という意味だ。
いかなる理由があろうと、戦争は二度としてはならないというのが、最大の感想だ。