さくらの樹の下で(上) (フリーメイソン外伝)
価格: ¥0
『さくらの樹の下で』あらすじ
高校時代から交際していた彼女奈良沙世と別れた田髙守之は、失恋の痛みを癒そうとして熊谷市駅前にあるクラブ『館』に入り酔って禅寺の和尚山岸と知り合い。山岸に寺で坐禅の修行をしていた。寺の書庫の掃除をしている時、太田牛一の『信長記』を見つけ手に取ると何かの書付が落ちた。書付を開いてみるとそこには、西行の歌が八首と数字の羅列と信長が好んで歌ったとされる謡(うたい)が、書かれていた。信長を歴史上の人物で一番尊敬をしている守之は西行の歌に隠されていると思われる。信長が隠したと考えられる軍資金探しを始める。然し、西行の歌は守之には解らないので、別れた彼女、奈良沙世が東京大学の文学部研究室にいるので、発見された古文書の解明を依頼する。これに眼を付けたのが文学部教授であり現在の沙世の不倫相手の不動倫一である。
一方。この古文書は、幕末長崎で薩長同盟が結ばれる裏工作として坂本龍馬が、トーマス・グラバーから薩摩藩名義で長州藩の為に、銃を買い付ける時にグラバーに渡したものでもあった。グラバーの末裔であるリョー・ホース・グラバーは、フリーメイソンの女性版である『ペチコット・メイソン』のメンバーであり長崎のフリーメイソンロッジのマスターである山杉幸義に古文書を渡したところ山杉が私欲に駆られて信長の軍資金を手に入れようとしてリョーを使い。守之に接近させるが、守之の純粋さに触れて愛してしまうのである。
東京大学の文学部の教授である不動と不倫をしている守之の元彼女の沙世と守之・リョーそしてフリーメイソンの山杉が絡み信長の残したであろうと思われる軍資金を探すために信長の居城であった清州を皮切りに岐阜・安土を巡り西行の関係したと思われる伊勢・吉野・江口・河内を廻り軍資金探しに狂奔するのである。
山杉にリョーが、拉致された時に守之は人間にとり宝とは何であるかが分り、軍資金探しを放棄して沙世に自分で調べた信長の軍資金探しの重要な手掛かりとなるマークの謎を教える。
教えられた沙世と不動は河内の西行終焉の地、弘川寺に辿り着き信長の隠した軍資金を掘り起こした。地中に埋められていた櫃から出てきたのは文箱でその中には、信長が書いた人間にとり宝とは何であるか諭されている文書一枚だけであった。それを読んだ不動は、その場で、脳溢血で倒れ帰らぬ人となり沙世は盗掘を手伝ってくれた『桐小田土建』の社長桐小田忠行と結婚してしまう。
守之とリョーもホテル・オークラで盛大な結婚式をして新婚旅行でグラバー家の故郷であるスコットランドに行きセントアンドリュースでゴルフをして次は、ペルーに行きマチュビュチュの空中都市を見たりしていたが、次のナスカの地上絵を見るためにフリーメイソンのメンバーが用意してくれた自家用ジェット機に乗るが、メイソンのメンバーがコカインを何時もより多めに吸引したために、ジェット機の操縦を誤りナフカの地上絵であるハチドリ目がけて墜落してしまうのである。人間にとり宝とは何か。幸福とは何か。坐禅という神や佛を人外に求めず、仏は自分の心の中にいてそれは何か本来人間が心の奥底に仕舞ってある善性であると結論してある。
又、幸福の裏には不幸が潜んでいるという事もこの書には書いてある。
―人間万事塞翁が馬である。