【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:長友健二/著 長田美穂/著 出版社名:中央公論新社 シリーズ名:中公新書ラクレ 238 発行年月:2007年02月 関連キーワード:アグネス ラム ノ イタ ジダイ チユウコウ シンシヨ ラクレ 238 あぐねす らむ の いた じだい ちゆうこう しんしよ らくれ 238、 チユウオウ コウロンシヤ チユウオウコウロンシヤ 4622 ちゆうおう こうろんしや ちゆうおうこうろんしや 4622、 チユウオウ コウロンシヤ チユウオウコウロンシヤ 4622 ちゆうおう こうろんしや ちゆうおうこうろんしや 4622 「青春」という言葉がまだ恥ずかしくなかった1970〜80年代、グラビア・アイドルたちが次々と誕生した。生涯最前線で彼女たちを撮り続けた男が、昭和のアイドル産業の輝きを活写する。 1 アグネス旋風が日本を席巻したころ(ビキニの天使が舞い降りた『平凡パンチ』が育てたアイドル ほか)2 ヌード写真とロマンポルノが
常夏の国から日本中を席巻した元祖グラビアアイドル――“太陽の恋人”アグネス・ラム
★★★★★
70年代の思春期・青春期を過ごされた40〜50代の男性にとって、女神(ヴィーナス)的な象徴ともいえる元祖グラビアアイドルであり、“太陽の恋人”アグネス・ラム
当時『週刊明星』『平凡パンチ』といった男性誌でスレンダーな体型のモデルたちがグラビアを飾るなか、突如として出現した日本人にはない豊満なバストを含めたダイナマイトボディーを持ちながらも扇情的なビキニ姿で愛くるしい微笑をふりまくアグネス・ラムの存在は一躍にして日本中の男性たちを虜にした。
本書は1960〜80年代にかけて沢田研二、天地真理、キャンディース、山口百恵、ピンク・レディー、夏目雅子、松田聖子、中森明菜といった時代のアイドルたちを撮り続けたカメラマン・長友健二氏(2006・7・30逝去、享年74歳)がアグネス・ラムを筆頭に生前語られたグラビア黎明期の挿話を中心にまとめられた内容である。
一枚の写真から “発掘”され、水着姿で日本中を席巻したアグネス・ラム、日本で初めて、胸をさらけ出した姿でテレビの前に登場し衝撃を与えたフラワー・メグ、若くしてこの世を去った“和製ジェームズ・ディーン”赤木圭一郎、“白雪姫”と呼ばれた伝説のアイドル・天地真理、吉田拓郎・井上陽水・泉谷しげるといったフォークソングの旗手たち、元祖バラドルとして大人気となったキャンディーズなどカメラを通しての撮影秘話の挿話が面白かった。
最後に長友氏の撮影の心構えとして
「ヌードもたくさん撮ったけど、いやらしく撮ったものはない。きれいに、かわいらしく写るように撮った」
その精神があるからこそ、被写体は安心して自然な表情を見せ、数多くの時代のアイドルやスターたちの笑顔あふれる魅力的な写真を残せたのだと思います。
お宝写真も満載!
★★★★★
アグネス・ラムと聞いて、ドキン!、ニヤッ!となる日本の中・高年男性は決して少なくないだろう。1970年代中ごろのことである。バブル到来の少し前、日本赤軍とか、ロッキード事件とか、結構政治的な話題が多かった時代、このような昭和の時代背景も詳しくかかれているので、単なるアイドル写真集、アイドルの栄枯盛衰、あの人は今っていう、いわゆるスキャンダル話に終わっていないところがいい。 吉田拓朗とか泉谷しげるのデビュー当時の写真も興味深いが、とりわけ井上陽水のサングラスなしの素顔なんてそう見れるもんじゃない。
憧れとノスタルジーに満ちたあの1970年代 私はその時代に遅れて生まれてきた(追悼長友健二氏)
★★★★☆
本屋で思い切り目に入ってきて「おおっ!」彼女が大活躍した頃私はまだ小学低学年で、当然ながら「平凡パンチ」なんか見る訳がないしエメロンの「ホッ」のCMだって本書で初めて知りました。それでも彼女のビキニ姿は記憶に深く焼き付いています。今ではポピュラーな南島水着グラビアですが、彼女こそその元祖にして最高の被写体。その手のフォトを見続けてきた今の眼でも彼女は一頭抜けてます。「アグネスほどのボディーとかわいい顔の持ち主が、堂々と、しかも上品に」「日本的で家庭的で」(P.19)という褐色の肢体と笑顔は時代を超えて輝いています。
長友健二氏は不明にして知りませんでしたが、氏が70〜80年代を中心にして撮り続けてきた被写体は時代を彩る錚々たる人達ばかり。今でも週刊誌のグラビアは当代美人のフォトが中心ですが、それも皆こういった先人達が切り開いたものだということを再認識しました。そしてその起源にロマンポルノやナベプロがメディアを席巻していたこと、映画黄金期のスター・システムが去り、フォークソングを代表とした普通の素顔を持つ若者達による反体制的空気があったことを、当時の生き字引でもある長友氏が回想の中でいみじくも語っていきます。私にとっては自分の感性のルーツを解き明かしてくれる談話で、憧れとノスタルジーに満ちた芳醇な時代を再現してくれます。特別な思いがあるのです。
本書ではそんな素晴らしい時代をアグネス・ラムという稀代のミューズに代表させて語ります。そのためか彼女以外の章では語られる人物達がカタログ的に通り過ぎられていくきらいがあります(フラワーメグの物語は伝説に聞いていただけあって圧巻でしたがもっと知りたかった!)食い足りない所も多いですし少々軽すぎる印象も受けますが、しかしこれは極めて刺激的で面白かったある時代の証言です。そしてあの時代に遅れて生まれて来た私にとっての憧憬の書です。