37歳中卒東大生
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教師だった父親、過干渉だった母親への反発と、中学でのイジメにより、
高校へは行かず大検(現高卒認定)への道を選んだ青年を待っていたのは、
所属する場所のない不安だった。 「大検にさえ受かれば何かが変わる」と信じて必死に勉強し、
17歳で大検に合格したものの、現実は何も変わらず、
彼は更に孤独な日々を送ることになる。
容姿にコンプレックスのあった彼は、一重だった左目を整形し、
拒食と過食を繰り返しながら、「誰か一人でいい、自分を理解してくれる人が欲しい」
と切なる気持ちで街を徘徊するが、
都合良く理解してくれる人など現れるはずもなかった。
徘徊の末に彼を待っていたのは、
「自分は社会の中で必要とされていないのではないか」
「自分なんていてもいなくても誰も気づかないのではないか」
という自己存在の否定だった。
絶望の中、彼は現実から逃げるようにひきこもってしまう。
引きこもった家庭内で彼は、自分の不遇を両親のせいにするように荒れていた。
だがそんなある日、彼は母親との確執に決着をつけるように、
母親が大切にしていたピアノを滅茶苦茶に壊してしまう。
悲嘆にくれる母親と、大切なものを壊してしまったことに、
やりきれない苦しみを抱く彼。しかし親子は、
その出来事を境にゆるやかだが本来あるべき姿へと戻っていく。
その後、鍼灸などの国家資格を取得し自信を得た彼は、
少しずつ自分の人生を取り戻し始める。
株や官能小説などで金を稼ぎながら自由を得て、33歳で結婚。
二人だけの生活の中で、心の中の闇を解消していく。
そして結婚してから2年後、本当の意味で社会復帰を目指すかのように 東大受験を決意し、独学で合格する。
イジメられていた暗い中学時代から紆余曲折を経て、
少しずつ自分の人生を取り戻し、37歳で東大生になった
彼のドキュメンタリーからは、「人生はいつでもやり直せる」
というメッセージが聞こえてくる。