こういう、一冊で完結している薄い冊子のシリーズは、一般教養の補強としてつまみ食いしてみると面白いと思う。大学の政治学の授業で宗教改革がテーマになった日に予習のために読んだのですが、べつに授業とは関係なく、読んでためになる内容だと思いました。
カトリック対プロテスタントといった単純な二項対立的図式ではなく、様々な宗派やグループの複雑なからみ合い、そして変遷が書かれている。しかし、混乱せずに読めるのは想像力をかきたてる語り口や挿入された多くの絵や地図によるからだろう。
最終章の「宗教改革の再評価」では我々が描きがちなカトリックとプロテスタントの関係から一歩進んだ見解を述べている。この最終章だけでも一読の価値がある。