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日本経済の憂鬱

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
ブランド: ダイヤモンド社
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経済学の大御所、佐和隆光教授が『経済学とは何だろうか』(岩波新書、1982.2)で、経済学(political economy)の進化をまとめてから30年が経ちます。その後、政治にも精通する佐和教授は『市場主義の終焉-日本経済をどうするのか-』(岩波新書、2000.10)などで、ゆきすぎた市場主義を激しく糾弾し、イギリス・労働党出身のブレア元首相が唱えた「第三の道」(市場主義と反市場主義の中庸)改革の断行を主張してきました。

 ですが、現在の日本は、長引く景気低迷に加えて、財政や社会保障が見直されるでもなく、外部環境の変化があったにせよ「第三の道」改革が奏功したとは言いがたい状況です。中曽根康弘・小泉純一郎時代に自民党で確立したかに見えた新保守主義経済政策に対し、民主党は当初打ち出したリベラル色をいつの間にか退色させ「経済無策」で政権を終われ、再選された安倍首相のもと、小泉路線はいとも簡単にアベノミクスで覆され今度は国家資本主義にひた走っているようにみえます。目下、アベノミクス期待により株高・円安を実現していますが、これが実体経済にまで波及するのかは未知数といえるでしょう。本書では、ポリシーなき政治と経済の混迷の関連をひもとき、デフレ不況からいつまでも脱却できない日本固有の問題を議論します。



【本文より抜粋】

小泉が「ぶっこわした」はずの旧い自民党が、いま、安倍政権のもとで不死鳥のごとくよみがえろうとしている。2012年12月に首相に再任された安倍は、3年3カ月の民主党政権との差異化をもっぱらとするせいか、政治的には極右の政策を口にしながらも、経済政策の面ではオールド・ケインジアンへの先祖がえりをとげた。アベノミクスの名のもとに、国家資本主義的な官主導の成長戦略を、なりふりかまわず打ちだしている。日本経済はどこへゆくのだろうか。



【目次】

序章  経済無策からポピュリズムへ

第1章 正体不明のアベノミクス

第2章 「理念」と「思想」にうとい日本人

第3章 日本経済の躍進と挫折

第4章 混迷のつづく日本の政治

第5章 日本経済はどこへゆく

第6章 安倍総理いわく「大学力は国力そのものだ」

終章  日本経済の憂鬱

補章 福島原発事故から学んだこと

おわりに