「風の都編」は009全編の中でも私がもっとも気に入っているもののひとつで、007が語るシェイクスピア劇の台詞が詩情をかき立てます。「雪のカーニバル編」は009と004が二人で遭遇する事件で、こちらも悲しい物語です。
「海の底編」は「地下帝国ヨミ編」の少し後に描かれたにもかかわらず、なぜか滅んだはずのブラックゴーストがちょっと登場するのが不思議です。
「クビクロ」は、ジョーと「クビクロ」と名付けた、頭のよい、否、よすぎる犬との物語。これも哀しいはなしです。
他に「風の都」と「海の底」を収録。「風の都」では007ことグレート・ブリテンの名戯曲の朗誦が涙を誘います。「海の底」ではジョーが海難事故から海底都市の秘密に迫ります。どちらもドキドキするような物語です。