大学の時にはまったく理解できなかった.統計力学でしたが,
この本と,高橋康先生の統計力学入門は,分かりやしかったです.
あと小暮先生の本も個々の内容は分かりやすかったように思います.
要するに,学生時代に分からなかった理由は,何のためにこんなことをするのか
ということがよくわからなかったためと思います.
その辺が,この本と統計力学入門には,はっきり書かれていたためではないかと思います.

これはすごい本です。
講義ノートをそのまま本にしたとのことですが、式の導出など省略することなく
示されており、どれほどていねいな講義をされていたかがうかがわれます。
どんどん飛ばして読めるような「よくできる人」には不必要な部分もあるでしょうが、
数学的な扱いに慣れない初学者には、この上ない親切さです。
しかも、見かけだけ簡単、あるいは内容を省略しすぎて軽い本というわけではありません。
「はじめに」にあるように、講義内容を充実させるため項目を絞っていて、
そのため対象は統計力学の基礎に限定されていますが、内容は高度で緻密です。
文体や脚注の文章にも著者の個性が感じられます。ともかく面白い本です。
およそ２０年前に学んで挫折しかかった統計力学を、もう一度学ぼうという気になりました。
（星が４個なのは項目が限定されているためです）