三段目のハナが咲く頃に
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トマトは私たちの食卓でこよなく愛される野菜です。酸味と甘味を兼ね備え、果汁は口からぷっつと弾ける食感。もぎたての青臭い香りは夏を満喫させる野菜であり、世代を越えて郷愁をそそるものでもあるのです。おやつといえば畑から「もいで」きたトマト。井戸水で洗ってがぶついたっけな、彼女がこさえてくれたトマトサンドをぱくついてデートしたっけ。
私はトマト農家ですので生活の糧でもあります。毎日トマトを売りながら、お客さんたちのトマトへの思いを現実的な値段のことやら、食味やら、品種のことやらとこの上なく聞いています。4つ玉で398円。高いといわれるかも知れませんが、あの赤い実、ほのかな桃色と赤の橋渡しのような色目。ずっしりとした重量感でお客さんに引き渡したい、つまりは嫁に出したいと思っています。
この本にはトマトの履歴書というのがあります。家庭菜園でこさえるコツなども詳しいですが
大雑把にいいますと、トマトは深いところに根を伸ばします。まず定植10日前に畑つくり、晴れの風のない午前中に植え付けて、最低1週間は植えつけた苗の鉢に潅水を。根鉢を乾かさないことが初期のコツです。そして植える時やや斜めにし深く植えすぎないのもコツです。3という数字がキーワードです。ハナが咲いたらその後、葉が3枚展開します。すると次のハナが咲きます。このハナの房を花房と呼びます。三段目のハナが咲く頃に最初のハナが実になり始めます。お試し下さい。くわしくは本書をご覧下さい。