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無意味なものと不気味なもの

価格: ¥1,980
カテゴリ: 単行本
ブランド: 文藝春秋
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【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:春日武彦/著 出版社名:文芸春秋 発行年月:2007年02月 関連キーワード:ムイミ ナ モノ ト ブキミ ナ モノ むいみ な もの と ぶきみ な もの、 ブンゲイ シユンジユウ ブンゲイシユンジユウ 7384 ぶんげい しゆんじゆう ぶんげいしゆんじゆう 7384、 ブンゲイ シユンジユウ ブンゲイシユンジユウ 7384 ぶんげい しゆんじゆう ぶんげいしゆんじゆう 7384 本来のメッセージとは微妙に食い違った部分においてひそやかに違和感を与え続けてきた小説たち。奇妙な方法論を用いて世界を分節してみせた物語たち。わたしの孤独感をますます深めてきた文章の数々。本書は、そのような小説について、あえて個人的な記憶や体験を織り込みつつ論じたものである。 隠蔽された顔-N・ホーソーン『牧師の黒のベール』本物そっくり-河野多惠子『半所有者』糞と翼-パトリック・マグラア『長靴の物語』姿勢と連想-古井由吉『仁摩』受話器を握る
素直に楽しめる ★★★★★
精神科医をしている著者の偏愛する、グロテスクで不気味な小説についての評論集。
取り上げられている小説が非常に魅力的。ホーソーン、河野多恵子、ラブクラフト、車谷長吉、内田百閧ニいった「いかにもな面々」から、もっとマイナーかつマニアックな作家までが取り上げられている。
著者は、それらの作品を、自身が精神科医として接してきた狂気の事例と突合せながら読み解いていくが、決して理屈っぽくはならず、あくまで自身の嗜好や感覚に忠実に分析しているので、非常に分かり易いし共感できる。
グロくてキモくて不気味であるということを、本書は、小説のひとつの醍醐味として素直に楽しませてくれる。
暗黒を求めて ★★★★★
うさんくさい小説やキモい小説の評論集。精神科医でありながら「精神分析」的な解釈を安易に行なわず、個々の作品の意味はないんだけど頭からはなれない気味の悪さ、の謎を読解しようとディープに考えていくプロセスがすばらしい。その合間合間に著者の個人的な体験が差し挟まれるようになっていて、つまりどの評論も、あくまでも「私」という存在の中にその作品のもつ「変」さに魅了されてしまう部分があることを率直に告白するような体裁になっている。その「私」の趣味嗜好のさらけだしぶりも立派である。
全体に、作品の内容紹介がとても上手で、要約だけで読んだ気になれるのもよかった。あらすじと引用と著者の解釈のバランスが絶妙なのだ。この著者の「狂気」の事例紹介の巧みさには感心させられることが多く、笑いと怖さの両方を一挙にもたらしてくれるのだが、本書では、その技術が様々な小説の「無意味」と「不気味」を丁寧に述べていく文章に応用されているといえるだろう。
まあ、基本的に暗鬱としたトーンが漂う作品なので、読書ですかっとしたい人には全くおすすめできない。世界のそこかしこに潜む暗黒を、自分の暗黒として受けとめそれを徒労感とともに思索してみたい人が読むべきだろう。癒されることはないが、世界の謎にもう少し近づくためにがんばってみようかな、という目立たない元気はかすかにわいてくるはずだ。