レベルはちょうど良くまぁまぁ読みやすいが構成と誤字に難あり
★★★☆☆
債権総論はイメージがつかみにくいジャンルだが、この本は豊富な実例と演習問題(しかもヒント付きで考えるプロセスまで与えてくれる)でフォローしているため、比較的わかりやすい。レベルも高度なレベルまで取り扱っているように思える。
書き方としてはほぼ条文に沿った構成になっている。
つまり、債権の定義→債権の効力→債務不履行→責任財産保全→多数当事者→債権譲渡・債務引受→消滅の順で書かれている。この構成で書かれた本は多いが、私はこれは少しわかりにくいと思う。
債権の代表的な消滅事由である弁済がどの様な性質か、言い換えれば、まともな債権はどの様にして生まれ、どの様にして死んでいくかが分からなければ異常な債権にどの様な効力が発生するのかがわかりにくい。この点で☆を一つ減らした。
また、誤植がかなり多い。条文の引用ミス、債権者と債務者を逆に書いている等である。マーフィーの法則ではないが、こういうミスがある場所に限って頭を使わされる箇所であったりするので、無駄な悩みを抱えさせられることにもなった。この点で☆をもう一つ減らしトータルで3つとした。
しかし、債権総論の本としては、通説・判例にもバランス良く触れられており、潮見先生のプラクティス債権総論などが分厚いがSシリーズでは物足りない、と思う人にはちょうどいい分量だと思う。