ブラームスの人生とその作品
★★★★☆
ブラームスの人生と作品に関する本です。
人生に関しては従来のブラームスのイメージの修正を試みています。
作品説明では、作曲の経緯を重視して記述している、と思います。
一般的にブラームスには「保守主義者」、「ベートーヴェンの後継者」、「反ヴァーグナー」などのイメージが流布しています。
また「厳格だ」や「いかめしい」と思われているでしょう。
しかし、これらのイメージはブラームスの一面しか伝えていません。
古典音楽を通しての「新しい音楽」の模索、ヴァーグナーの作品研究と吸収、
そして両親、姉弟、恩師、「真の」親友などに示した親切、等々。
本書は新しいブラームスを提示している、と思います。
恩師の夫人にして「理想の女性」であるクラーラ・シューマンを怒らせたときに、
ブラームスは反論せずにひたすら和解を求めたことは興味深かったです。
本書を一読してみると、ブラームスは19世紀においてヨーロッパ音楽を
総括した偉人である、といえると思います。
西原氏はブラームスを「シューベルトの後継者」として描こうとしており、
非常に興味深い試みであると思いました。
ただ、脱字・誤字が目立ったのが残念です。