糸車 (集英社文芸単行本)
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江戸・深川の宇右衛門店で独り暮らしをするお絹。三十六になる今は、小間物の行商で身を立てているが、三年前までは蝦夷松前藩の家老の妻だった。夫は藩内の不穏分子の手にかかり、息子の勇馬は行方不明。お絹は商いを通じて、定廻り同心の持田、船宿の内儀おひろ、茶酌女お君など町の人々と親交を深める。それぞれの悩みに共感し、奔走するうちに、行方不明の息子と夫の死にまつわる噂を耳にし…。母として、女として、ひとつの願いを胸に深川を歩む。『髪結い伊三次捕物余話』シリーズ、『雷桜』等の作者が、江戸・深川を舞台に、市井の人々を描いた人情味あふれる時代連作集。