まず印刷の状態はいい。作品から受ける印象は以前のものよりアメリカ的なポップな感じがする。
筆の勢いも相変わらず見事に闊達。が、この作品集は自身の知名度に溺れたのか、かなり描きずれた感じがする。こういうスタンスでは某国の出来レース「N展」で名声を ”買い取った”画家と変わりはしない。
リイドは老いたか？。今までの作品集或いは技法書はラフながら、色の絶妙な緊張感やバランスセンスが素晴らしかったのに、今までと違って背景（空やバック）も単純でこれといって魅力が感じられない。これでは初心者も上級者も参考にならない。この作家はもちろん ”上手い”にちがいないがあまり情念の感じられない作品集だと感じた。他者から利益追求のための無理矢理な企画を強いられた感もあり。と、作家の意志に反した商業主義的な産物・・・そう信じたいのだけど・・・。
良いと感じたのは最後から２番目のヨットのある作品のみ。今後も自身の知名度におごらず、粗製濫造にならないことを願いたい。