的確な判例分析と他罪との関係が秀逸
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刑法各論は保護法益と構成要件を正確に理解するところから始まると
思われますが、本書はこれらが体系的に整理されており、とても
読みやすいものとなっています。
さらに、判例への言及・分析が素晴らしく、引用されている判例刑法各論
と合わせて読むことで、より一層理解は深まると思われます。
最後にどうしても付け加えたいのが「他罪との関係」です。
刑法各論は罪数関係で迷いやすい場面があるわけですが、通常の刑法総論の
教科書に書かれている分量では対処しきれないことも多くあります。
本書では各罪名の説明が一通り終わった後で他の罪名との関係が
説かれており、この点からもこの本をお薦めできます。
実務に役立つ
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実務において具体的な事件に接したとき,類似の使えそうな裁判例を素早く見つけ出すことが有益です。
本書には,判例刑法各論(有斐閣)の判例番号がいちいち明記されているため,使えそうな裁判例を検索する上で大変便利です。
多忙な実務家にとって,本書はとてもありがたい存在です。
お薦め。
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この第4版を読んでいないので、この版だけの感想です。
全体の構成は、現在のテキストの大多数を占める個人法益、社会法益、国家法益の順。
特徴は、判例の膨大な引用と、メリハリが利いた構成でしょう。特に判例については、ほかに判例集を買わなくていいんじゃないのと思うくらい多数引用されています。
また、例えばアヘン塩に関する罪などは、特別法でカバーされるから省略するなど、実利を重んじた構成となっています。
文章は読みやすく、確かに読者の評価が高いだけのことはあります。