著者は事業のかたわらフォーチュン500企業の会長に就任し、また、母校のコロンビア大学でも非常勤講師として金融論などを教えている人物である。本書では、理論のみならず、実際のケーススタディー(マリオットホテル、アメリカン・エクスプレス、HBJ、ウエルズ・ファーゴなど)を豊富に取り入れ、著者が実際に儲かる株をいかに発見し、どのように投資を実行していったのか、そのプロセスを開示している。
著者は、投資の基本原則について「勝負する場所を選ぶこと」が成功へのカギの1つであると説く。「会社の純資産と利益から見て、割安な株式のみを買う」というベンジャミン・グレアムや、「計量的に安い株へ投資するだけでなく、ファンダメンタルズが良好な事業へ投資する」というウォーレン・バフェットにも通じる考え方である。著者はまた、投資利益が企業分割、合併、リストラ、新株発行、倒産、清算、資産売却、配当などに潜んでいるとも指摘している。
著者は、本書の最後に「時は人生の通貨であり、カネは人生をエンジョイし、人生に意味を見出せる何かを追求する自由を与えてくれる」といった金銭哲学も披露している。プロの投資家のみならず資産運用を考えるすべての人にとって参考になる1冊である。(増渕正明)
内容が悪いわけではありませんが、実用性という点からするとせいぜい星3つ。
最初に、そこに宝がある確率が高いと分かっているだけでも、宝を発掘できる確率は飛躍的に高まる。
次に、この本をどのように自分の投資戦略に実際に応用していくかであるが問題となる。
良書であるが、日米の違いも大きく、実際に個人投資家がこの本の知識を使って儲けるのは難しい。
このギャップを埋められた人にとってのこの本は値千金になるが、
このギャップを埋められない人にとってはあー面白かったというぐらいの価値しかなくなる。
是非、挑戦して欲しい。日本のグリーンブラット、特殊状況の投資スペシャリストになるのだと。
① 日本においてこの特殊状況がどこにあるのかをみつける
(その特殊状況を儲かるようにしている要因、ロジックもあわせて)
② その特殊な状況を感知するのにどこを探せばいいのか
③ 過去においてその特殊状況に投資した場合にパフォーマンスはどうだったかを測定する
是非、一読を薦めたい。