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学歴・階級・軍隊―高学歴兵士たちの憂鬱な日常 (中公新書)

価格: ¥924
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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視点はよい ★☆☆☆☆
前著と同じく視点はよいが、基本エピソードをただだらだらと
紹介しただけになっている点が痛い。
前著でもそうだがあまりに強烈過ぎるルサンチマン・・・
まあそれが読ませる方向に行けばよいのだけど学術書でも
ない本書ではどうか。
もう少し書き方でなんとかならなかったものなのか
悔やまれる。
屈折ぶりがオモシロイ ★★★★★
60年も前に消滅した旧制高校(とそれに付属しているかのような旧帝大)。
ノスタルジックに語られることが多いかつてのエリートたち。
前から興味があったんですけど
この本が彼らのいろんな内面やその自負、純情、ちょっぴりカワイイ屈折を
鮮やかに描いていて私の知りたかったポイントに直球ド真ん中。
久々に楽しめて(別に知ってても何の役にも立たないけど)満足でした。
今とは違ってほんの一握りの人しかいなかった高学歴者。
ある程度同じような仲間内から
いきなり庶民のなかに放り込まれた彼らの
呆然ぶり失望やあせり驚愕、その中で
やっぱり習性としてナニカと理屈をこねて
自分を、現実を把握しようとする
その姿がイタくもありまたいじらしくもあり。
でもこの著者の立派なところは
いろいろな資料を引用し
笑わせてくれながらも
読む者にもっと大きなテーマを考えさせてくれるとこ。
ご本人が言うように
「平等とは,公平とは何なのか
人間の嫉妬や悪意はどこから来るのか
才能があるとかないとかそれはどういうことなのか
人が卑しくなる契機はどこにあるのか・・・」
私も読むうちに何度も空中を見つめて
考えちゃいましたよ。
(電車で読んでたからヘンな人になっちゃいました。)
イヤミでなく
やっぱり東大出てる人にしか書けへんわな〜
東大君のおかしさイヤミさいじらしさを
こんなにエグリとれるのも東大ちゃんだから!
好著です。おすすめします。




なぜ「男の世界」を書くのか ★☆☆☆☆
本書は戦争も安保も学園闘争も知らない、戦争に絶対参加する必要のない「女性」ライターが各種文献を拾い集めてまとめたものである。
随所に著者の「男の世界」に対する冷酷な皮肉が見られる。
最後に書かれているように死者の声と絶対に結びつかないと思う。
「最後の旧制高校世代」への鎮魂歌 ★★★★☆
下駄をならして奴がくる 腰に手ぬぐいぶら下げて 
学生服にしみこんだ 男の臭いがやってくる

と、かまやつひろしが「我が良き友よ」で歌ったように、旧制高校は浪漫とノスタルジーの対象となってきた。その憧れの視線は、例えば木原敏江が摩利と新吾―ヴェッテンベルク・バンカランゲン (第1巻) (白泉社文庫)で描いたように、少女漫画にまでも浸透している。

このように戦後日本人からある種のユートピアとして概念されている「旧制高校」の最後の世代を、様々な視点から描いたのが本書である。

しかし「最後の旧制高校世代」はすなわち、学徒動員世代であり、それまでの旧制高校出身者と比べると圧倒的な「貧乏くじ」世代であった。軍隊に放り込まれ、出身階層の異なる兵隊の間で辛酸を舐め尽くす。「きけわだつみのこえ」の特攻隊に志願した世代でもあった。そのような経験を経て「生き残ってしまった」世代がニヒリズムと享楽に走るのも無理のないことである。「二十歳ニシテ心朽チタリ」と嘆ずるのも当然であろう。

本書は、該博な資料を駆使して、この徹底して「貧乏くじ」を引いた高学歴ロストジェネレーションをあらゆる角度から描き出している。
そのことは、評者には「鎮魂歌」として感じられた。
「故人のことを思い出し、偲ぶ」ことこそ、もっとも誠実な鎮魂の行為に他ならないからである。
興味深いエピソードが満載 ★★★★☆
本書は戦時中に一高生や東大生といった高学歴エリート達が、
どの様にして戦地へ送られていったのか、
また戦時中の社会においてどの様な立場に置かれ、
どの様に戦争と向き合ったのか、様々な資料やエピソードを交えて描かれている。
最も興味深かったのは、多くの学生達がいかにして戦役から回避しようとしたかというところ。
例えば文系学生が理科系学部に進学する(これを「理転」と呼ぶ)ことによって徴兵を避けたり、
後方勤務の多い経理将校に志願したりしたというもの。
三島由紀生が徴兵を仮病か軍医の好意的誤診かによって忌避したエピソードにも触れており、
その後の三島事件にも深く関わる非常に興味深い出来事だと思われるのだが、
そのあたりの突っ込んだ考察が無かったのは残念。
全体として著者の言いたい事が今一つ伝わらなかったが、
内容的には興味深いエピソード満載で最後まで退屈せずに読めた。