歩兵ならばしかたないのかもしれないが・・・
★★☆☆☆
前半は赤紙徴集〜中国出兵半ばまでの記載だが、「よもやま」と言われるように、日々の様々な出来事を書いてあり、なかなか面白い。
徴発してきた中国馬に荷物をのせ、並んで歩いていると、悪路と荷物の重みで馬も疲れて、著者にもたれかかったりしながら歩く姿は、「動物も人間も同じだな〜」と子どもにも話して聞かせた。
が、後半に入ってくると、途端に「日本国及び日本軍は悪」「中国及び中国軍は善」という著者の思想が色濃く出てきて、読んでいて非常に不愉快。
赤紙一枚で徴集され、思いもかけず戦場を引きずりまわされた一兵士ならば、「軍」や「国」を怨む気持ちがフツフツ湧いてくるのも仕方ないのであろうが、彼は一体若い世代の日本の子孫に、何を伝えたくてこの本を書いていたのだろうかと気になった。
「戦争は辛い」「戦争は愚かだ」そういったことが伝えたいのならば、それこそよもやま話を綴っていても読者に伝わるものだ。
「日本軍の軍事行動はすべて八路軍につつぬけだった。それも知らずに日本軍は愚かにも戦闘を繰り返した」
「八路軍は人間的にも優れていた。南京豆の入った慰問袋を日本軍の兵隊に届けてくれた。それに比べて内地から来た慰問袋は、ことごとく食料は抜かれていた」
最後はこんな話の繰り返しで、著者の延々たるグチを聞かされているようだった。