ビートルズの残した曲の大半を聴いてきました。そのような思いを持っている人にこのアルバムをオススメします。キングズ・シンガーズの残したこのアルバムを20年以上ずっと愛聴してきましたので。

イギリスの生んだビートルズの音楽に対して、合唱王国イギリスの正統派とも言えるキングズ・シンガーズのハーモニーは、また別の彩りを付け加えてくれるようです。オリジナル曲を知っていればいるほど、こんなアレンジも面白いね、と評価してもらえると思っています。6人の編曲者の作る音楽は、ビートルズの音楽の特徴を上手く捉えないと凡庸なものになりますが、これは実に凝っていますので、ア・カペラ好きだけでなく、真のビートルズ・ファンにとっても支持されるものでしょう。

「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」でのＬＰレコードの針の戻りを再現した箇所の芸の細かさも含めバックのパーカッションに至るまですべて、キングズ・シンガーズのメンバーの声だけで表現されたものです。万華鏡のようにキラキラと変化する音楽を奏でる能力には感心してしまいます。

それぞれの曲を取り上げて、その印象を記すには字数が足りなくなりました。正確な音程から繰り広げられるハーモニーとリズムが上質のポップスの再現となっていますので、聞き飽きしないことが一番の特性だと思います。意識的にルネサンス期のホモフォニーやバロック音楽の和声を取り入れたアレンジもまた、十八番のサウンドだと言えるでしょう。
1986年6月、アビー・ロード・スタジオでの録音です。それも嬉しい趣向でした。

購入したのは10年近く前ですが、色あせない素晴らしさです。ジャケット写真を変えなければいけないかな？（ジョージもｐａｓｓ　ａｗａｙしたので）
アビー・ロード・スタジオでの録音ってのも粋ですよね。
贅沢を言えば、ジョージ・ハリスンのナンバーも欲しいところですが、これでも充分です。

お薦めはファンキーな「バック・イン・ザ・ＵＳＳＲ」、コーラス・グループの面目躍如の「キャント・バイ・ミー・ラブ」、「アイル・フォロー・ザ・サン」が良いですね。