年に一度の村祭りの日、出し物の記録映画「アメリカ式郵便配達」を観た“のんきな郵便配達人”フランソワ。そのアクロバテックでスピーディーな郵便配達に触発されたフランソワは、自分もやってみせると張り切って自転車を飛ばすのだが…。
郵便配達人フランソワが巻き起こすドタバタを描いた本書の翻訳を手掛けるのは、“東京のぼくの伯父さん”として『ぼくの伯父さんの喫茶店学入門』などの著作をもつ沼田元氣氏。映画の舞台となったフランス中部の村まで訪ねてしまったという根っからの「タチ・マニア」である彼の軽妙な語り口は、タチの世界観をあますことなく伝えていて好感が持てる。
また、カラーとモノクロで構成されるイラストには不思議な味があり、本棚にしまってしまうのは惜しいような造本がまた楽しい。(小山由絵)