生前の貴重な声
★★★★★
錚々たる十人との対談で、青春時代が苦難の戦争時代であった、その生の声が伝わってくる。
吉村昭「じゃ、上がってやんなさいよ、実際にやってみないと書けないだろうと言われてね」
沢木耕太郎「小説『鉄橋』の中にも出てきますよね、引っ張りあげられたということが…」
吉村昭「弟に見せろと言われた時にそなえて、癌であったらこうは書けないと贋の日記を…」
加賀乙彦「核心だけは慎重にはずして、それにしてもフィクションのように芸が細かい」
吉村昭「戦争って、勝つと人を多く殺したやつが勲章をもらえるんですよ、一歳違うと…」
半藤一利「地方に行けば、さらに違います」
吉村昭「新都庁舎、外から見た感じではごてごてしていて、あまりいいデザインではないですね」
森まゆみ「一つの象徴として仕方がないのかもしれませんが、ふらっと入れるようなものが…」
吉村昭「そう。いやな時代だった」
城山三郎「我々世代には、権威とか権力的なものはもうこりごりという気持があるでしょう」