同棲 ゲイカップルの一日
価格: ¥0
…………………………………………………………………………
僕としゅういちの同棲生活がはじまったのは一年くらい前のことだ。
当時、僕たちはそろって同じ大学の三年に上がったところだった。でも、学部が違っていたから、付き合うようになるまではお互いの存在をまったく知らなかった。きっかけは、とあるインターネットの掲示板で、僕が同じ大学で友達を募集したことで、唯一連絡をとってきたのがしゅういちだった。会ったその日にセックスをして、次の週には、二人で暮らせるアパートを探そうと引っ張り回されていた。
それまで、僕はまともに誰かと付き合ったことがなくて、しゅういちともせいぜいセックスフレンドどまりだろうと思っていた。なのに、気がつけばもう一年も一緒に生活している。ほんと、こういうことって運しだいで、進む時はトントンと進んでしまう。だけど、それは反面、先のことはなんにもわからないってことだ。大学生の間はともかく、卒業した後は二人の生き方も違ってくる。住む世界も変わってくる。いつまで今のような関係が続けられるのか……。
…………………………………………………………………………
大学生のカップル、しゅういちと「僕」。二人でいると楽しいし今はなにもかもうまくいっているように思える。しかし弁護士になるという進路の決まっている「僕」とちがい、しゅういちは毎日就職活動しながらひとつも内定がもらえていない。
卒業後の二人の関係がまるで見えない不安を感じながら、慎ましくも性欲旺盛な生活を送っている若い二人の日常を描いた短編。
初出『バディ』。ゲイカップルの一日シリーズ第九弾。シリーズといってもそれぞれが読み切りの短編です。バラバラに読んでも問題ありません。