膠原病の本としての完成度が問題になるが
完成度としてはまだまだかもしれない。
ただこの本のいいところは、evidenceがしっかり書いてあるところである。
総合診療を踏襲したところがあり、感度特異度の記載や
何が正しくて何が今の主流かといったところに言及しているところが素晴らしい。

ただ、疾患を網羅しているかどうかと言われると中途半端で、
本のつくりとしても何かバラバラな印象を受けるので
総合的に学ぶためには買うべきではないが、
膠原病が好きで普段から携わるのであれば買っても損はしないと個人的に思う。

リウマチ・膠原病のテキストとして、主に初学者・他分野の専攻者を対象に書かれた良書です。
本邦の卒前医学教育では、関節・皮膚の内科診断学がほとんど組織的に無視されているため、「とりあえず膠原病の検査をセットで出す」「患者ではなくデータを治療する」といったことが非常にしばしば見受けられます。本書は、関節・皮膚所見から診断に至る道筋を、文字通り「手取り足取り」教えてくれ、編者の講義を聴いているような気分になります。
写真は編者の自験例から豊富に掲載されており、上野征夫先生のテキスト（の思想）を継ぐ形になっています。個人的には、p103の写真に微笑を誘われました。

注文箇所は無きにしもあらずで、本書全般に治療についての記載が弱いこと、記載内容の質に執筆者による高低が見受けられること、感染症・腫瘍の章の記載が蛇足に感じられること、などでしょうか。星1つ減点させていただきます。

参入してから一挙に日本の臨床医学系出版物のレベル低下をきたしたように思う。
得意とする基礎医学系の実験手技マニュアルと同じ発想と構想で続々と多産しているが
その後を追うように老舗医学書出版社も同様の安直な出版を始めるようになった。
悪貨が良貨を駆逐するような事態にいたらぬよう祈るばかりである。

前置きが長くなりました、この本の出版の必然性が見当たらない。
アトラスとしては上野氏や住田氏の著書を凌駕するものでもない。
テキストとしては中途半端で三森氏や住田氏の後塵を拝している。
マニュアルとしては製薬会社が無料配布してくれるポケットサイズのものが遥かに便利である。