素問を原文に沿って理解しようとする方には、全く役に立たない本である。
素問の各々の篇の重要な点を原文に沿って解説している訳ではなく、全体を鳥瞰して重要な概念を解説している本でもない。解釈も日本の経絡治療という流派内でしか共有されていない解釈も多くある。

学生に素問理解の入門書と勧める方もいるが、入門書の体裁を有してないので初心者は読まない方がいい。

ただし著者独自の臨床経験からくる解釈があり（それが興味深いので評価の☆をひとつ余分に加えた）、それから何かを汲み取ろうとする方には読んでみる価値があるかもしれない。

素問の入門書としてなら、たにぐち書店から出ている小曽戸丈夫先生の素問の意釈本を読んだ方がずっといいと思う。

専門学校で鍼灸を学び始め数ヶ月が経ったのですが、教科書には古典からの引用がたくさんあります。　古典は読んだほうが良いとは思ってはいたのですが、なにぶん東洋医学のそれら古典の原文は漢文なので、引け腰でした。

しかし、この本には難解な漢文はなく、重要な箇所を現代語訳し、しかもその説明も加えてあるので、東洋医学＆古典初心者の私でも入門書としてとっつきやすい内容でした。

同シリーズで『霊枢』や『難経』もあるので、そちらも読んでみてはいかがでしょうか？