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失業公園

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カテゴリ: Kindle版
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「いいだろ、やるだけなら。性格あわなくたって、体だけならいいと思わないか?」
「たとえそうだとしたって、あんたみたいのは嫌だね。うちには絶対に入れたくない。だいたいうちのククちゃんが人見知りして、うちに入ったとたん噛みつかれるのがオチ」
「ククちゃんってなんだ?」
「この子」
 二人そろって足下を見下ろした。するとさっきのちんくしゃ犬が俺の脛にしがみついて腰を振っていた。
「へんだなあ。この子、いつもはすごい人見知りして、知らない人にはやたら攻撃的なのに」
「だから動物にはわかるっていうだろ」
「なにが?」
「善良な人間は動物に好かれるんだ」
 険しい顔してジロジロにらんできやがった。疑ってるのかこいつ? ちんくしゃがまた俺の脛に腰をなすりつけてきた。
「やめろってばクク、もう!」
 ちっこい犬をひょいと持ち上げて抱きかかえた。そして俺の目も見ずに言った。
「とにかくさようなら」
「待てよ、いいんだろ、一緒に行っても」
「そんなこと誰も言ってません」
「冷たい奴だなあ、なあ、いいだろ」

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 いつも自信たっぷりで仕事も男も思いのままと思い込んでいる主人公。たまたま夜の公園で出会った若い男とついたり離れたりの珍妙な関係を持つ。
 初出『バディ』。読み切り短編。ユーモアゲイ小説。犬も出てきます。