IT現場のベカラズ集
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30年以上、IT構築の現場に関わっていますが、どれほど沢山の「ベカラズ」をやってしまったことか。この本は、そんなIT現場に関わる人のための「転ばぬさきの杖」として、必読の一冊です。安い本ではありませんが、十分に元は取れると思います。
この本に近い内容の本で、オススメしたいのがプロフェッショナルCIOの教科書です。こちらは、ITだけに関わらずに、ITを含めた企業の業務改革の現場について、いろいろな失敗の原因が紹介されていて役に立ちました。改革現場での社員意識改革の話も載っていて、お得感がありました。
標準的プロセスに固執するより穴を避けたほうが100倍マシ
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SIerの端くれだが、このような本はお客様も読んでいると思うべきで、レビューで突っ込まれてしどろもどろになったら目も当てられない。
次々と新技術が出てくるため、前回の設計をそのまま流用しようなどと考えると痛い目に会う。設計・製造プロセスを標準化するよりも、多少はみ出ても最適なプロセスを探したほうが良いに決まっている。
そんな世の中の場合、落とし穴の存在は先に知っておいたほうが効率的。従って、「こうすべき」よりも「これはダメ」方式のほうが役に立つ。
本書が包含する範囲は広く、指摘事項も至極最も。机に置いておくと同僚が興味を持つので、プロジェクトルームに1冊置いておくのも良いかもしれない。
気になった指摘を幾つか挙げてみる。
3.性能要求はユーザーが決めると思ってはいけない
10.参照整合性制約機能を多用してはいけない
19.構築メンバーの目線だけでログ出力を設計してはいけない
44.ビジネス要件とシステム要件を混同してはいけない
48.すべての要件をユーザが知っていると考えてはいけない
88.コンフィグをコピペしてはいけない
93.サーバーの間にすき間を空けてはいけない
ああっ!胸が痛い。
IT技術者にとって参考になる事が沢山書かれています。
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ITに関して全てを一人の人が理解出来るのは限界が出て来ています。
この本が全ての事が書かれているわけではありませんが、IT技術担当者にとって参考となる事項が書かれています。
自分の専門でない部分に関しても、記事を読む事によって、他の担当者達がどんな事で苦労をしているか感じられるのではないでしょうか。
各記事が1ページから3ページぐらいに纏まっている為、移動中や空き時間に少しずつ読める点も良い点だと思います。
感激したのは、目次の前に「キーワード索引」があり
「プラットフォーム」「データベース」「ネットワーク」「ソースコード」「アーキテクチャ」
「要件定義」「開発プロセル」「運用設計」「テスト手法」「ERP」
「データセンター」「サーバ運用」「記録メディア」「リッチクライアント」
「シンクライアント」「Windows」「Linux」「オープンソース」
に分けて、注意が必要な事項を選んで読める様に構成されているところです。
この本を全て理解したり、必要としたりする人は殆どいないと思います。
しかし、200ページ程の内、ITの技術者なら50ページぐらいは、知識の確認も含めて参考になると思われます。
私の場合、「何故いけないのか?」を説明するのに参考となる部分が多かったです。
ITアーキテクトじゃない人も読むべき
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雑誌『日経SYSTEMS』やITproでのネット連載の記事をまとめたMOOK。
自分も情シス部門にいて、プロマネもどきをやっているが、所詮素人の付け焼刃。技術的なところは開発ベンダさんにお任せになってしまいがち。
やはり、こういった技術的な知識を自分たちもつけなければ、ベンダさんたちと話をすることもままならない。
ということで、このMOOKは非常に参考になる。『日経SYSTEMS』も定期的に購読しているが、やはりこういった1冊の本にまとまっていると、勉強しやすい。ネットの記事や雑誌に対する書籍の優位性かもしれない。
この本の内容も、設計、メソドロジ、実装・テスト、運用、セキュリティの5章にわたって、ITアーキテクトがやってはいけないこと、いいかえればやりがちな過ちをわかりやすく説明してくれる。もちろん、技術的なことも記述されており、内容をすべて理解することは難しいが、実装のところを除いては、私のようなユーザ企業のシステム部門の一担当者レベルでも十分理解できる内容になっている。早速運用の見直しを行うなど、とても参考になった。
また、章の間に挟まれているコラムも参考になる。特に、ITアーキテクトとプロジェクトマネージャの融合といった話は、私も同感だ。両方のスキルを持つのは大変かもしれないが、現実のプロジェクトでは両方の能力が要求される場面が多い。
うちのような人員がほとんどいない情シス部門では、こういったスキルを持つ要員の養成が必要だろう。自分もそうなりたいものだが...
どちらかといえば、ITアーキテクト的なスキルを持ったプロマネが自分の目指すところかな。