大アクション大作
★★★★★
夢枕獏と並んで伝奇小説の大家となった菊地秀行だが、デビューから3年ほどの間、ジュブナイルの世界では知られていたものの、一般的な知名度は皆無に等しかった。その状況をブッ壊したのが本作なのだ。
生体強化ならぬ文体強化を受けた、重厚ながらスピード感を損なわない文体、大藪春彦(皮肉なことに大藪氏は夢枕獏の「魔獣狩り」のほうを絶賛した)を思わせる銃器などの細部にまでわたるメカ描写、奔放な想像力を駆使し、迫力満点に仕立て上げた妖戦(そう呼ぶに相応しい)シーン、凄惨かつ淫靡なセックス描写、魅力的・個性的な登場人物たち――。本作の魅力は星の数ほどある。
「著者の言葉」にもある通り、本作には菊地秀行の酷烈な感情の爆発の結果である。これでもかと連発されるバイオレンスと陵辱。女性には向かない作品であることは確かだが、超一級のエンターテインメントである。
関連作品として、スピンオフ「魔童子」があります。これもオススメ。