Gifts of the Angels
価格: ¥1,656
スティーブン・ハルパーンのCDは60枚以上も流通しているが、その中には記憶力アップや富を手に入れる、体重を減らすといった表面上の目的で作られたオーディオ・プロジェクトも含まれている。彼は自分のトレードマークのスローガンまで持っている。“ハルパーン・エフェクト(tm)!(どうだ、モーツァルト)”というものだ。こういうことから、ハルパーンの1975年以来の膨大な数のアルバムは芸術というよりは日用品としてみなされてきたのもうなずける。『Gifts of the Angels』(邦題『天使の贈り物』)は8枚のアルバムのサンプリングと2曲のオリジナル曲からなる68分のコンピレーションで、ハルパーンの音楽は、時には深い至福やニューエイジの主張を離れても、その真価を主張できる貴重な数曲を提供している。「Celestial Prophecy」のこまやかな(しかし、複雑というわけではない)ソロ・ピアノの長編は一時的に感覚を呼びさまし、『ハイヤー・グラウンド』(原題『Higher Ground』)からのタイトル曲は、繊細なスペースミュージックとして際立っている。一方、「Earthrise」はハルパーンのデビューアルバム、『スペクトラム・スイート』(原題『Spectrum Suite』)を喚起させるが、1970年代のフラッシュバックのようなハルパーンの電子ピアノの音色はここに収録された何曲かでは時代遅れになっている。それでもなお、アルバムのペースは最後の5曲それぞれでより深い精気に満ち、満ち足りた無の境地に浸りたいというひとにはぴったりの構成になっている。(Terry Wood, Amazon.com)