Philadelphia International: The Collection
価格: ¥7,530
70年代フィリー・ソウル黄金期の名盤20枚が揃った初心者~マニアまで嬉しいボックス
黒々とした濃厚なヴォーカル、敏腕ミュージシャンたちによる洗練された演奏、ストリングスをフィーチャーした流麗なサウンド、黒人社会に向けた強烈なメッセージ・・・ 米・フィラデルフィアを中心に、1970年代に隆盛を極め、現代のR&Bはもちろん、あらゆるダンス・ミュージックの基礎となった「フィリー・ソウル」。とりわけ、プロデューサー:ケニー・ギャンブル&レオン・ハフが、1971年に設立したPhiladelphia International Records (PIR)からは、オージェイズやハロルド・メルヴィン&ブルーノーツ、ビリー・ポール、スリー・ディグリーズ、そしてハウス・バンドでもあるMFSBなどスターが次々と誕生し、フィリー・ソウル=PIRといっても過言ではない存在感を発揮。1970年代後半以降も、ソロ歌手として独立したテディ・ペンダーグラスやパティ・ラベル、そしてモータウンから移り再出発を図ったマイケル・ジャクソン率いるジャクソンズなど、現在のR&Bシーンにも大きな影響を与えるアーティストやヒット曲を量産し続けた。このプロダクトは、フィリー・ソウルのみならず70年代ソウルを彩った誰もが認める名盤から、現在のダンス・ミュージックにも直結するツウ好みなアルバムまで、ソウル・ファンのツボをついた20作品がボックスに収められている。
収録アルバムリスト
1. Harold Melvin & The Blue Notes - Harold Melvin & The Blue Notes
2. The O'Jays - Back Stabbers
3. Billy Paul - 360 Degrees of Billy Paul
4. The Intruders - Save The Children
5. Three Degrees - The Three Degrees
6. The O'Jays - Ship Ahoy
7. MFSB - Love Is The Message
8. Bunny Sigler - Keep Smilin'
9. Harold Melvin & The Blue Notes - Wake Up Everybody
10. Lou Rawls - All Things In Time
11. Dexter Wansel - Life On Mars
12. The Jacksons - The Jacksons
13. Jean Carn - Jean Carn
14. Teddy Pendergrass - Teddy Pendergrass
15. Lou Rawls - When You Hear Lou You’ve Heard It All
16. Teddy Pendergrass - Life is A Song Worth Singing
17. Jones Girls - The Jones Girls
18. Edwin Birdsong - Edwin Birdsong
19. McFadden and Whitehead - McFadden and Whitehead
20. Patti LaBelle - I’m In Love Again
【アルバム解説】
1. Harold Melvin & The Blue Notes “Harold Melvin & The Blue Notes” [1972]
PIRが設立され間もない1972年、リード・ヴォーカルとしてテディ・ペンダーグラスを迎えて発表された、フィリー・ソウル屈指の名作。ギャンブル&ハフのプロデュースのもと、トム・ベル、ノーマン・ハリス、ボビー・マーティンがアレンジし、アール・ヤング(ds)他敏腕ミュージシャンたち演奏し、シグマ・スタジオのジョー・ターシアが録音と、初期フィリー・ソウルの原型が早くも完成している。ソウル・バラードのクラシックとして名高い「If You Don’t Know Me By Now」(邦題:二人の絆/R&Bチャート1位・ポップ・チャート3位)と、「I Miss You」(R&Bチャート7位)を収録。ボーナス・トラックとして、「If You Don’t Know Me By Now」のライヴ・バージョン(1973年・サンフランシスコで録音)を収録。
2. The O’Jays “Back Stabbers” [1972]
現在も活動を続け、R&Bの殿堂入りも果たしたソウル・ミュージック界の大立者、オージェイズ。オハイオ州出身のエディ・リヴァート、ウォルター・ウィリアムス、エリック・グラントの3人から成るヴォーカル・グループで、1950年代末から活動しながらチャンスをうかがっていたところ、1960年代末にギャンブル&ハフとめぐり会いPIR入り。 PIRデビュー曲となったシングル「BackStabbers」(邦題:裏切り者のテーマ)はR&Bチャート1位、ポップ・チャートでも3位に入る大ヒットになり、続く「Love Train」では、R&B/ポップ共に1位を獲得する。アルバム自体もあっという間に50万枚セールスを記録し、全米アルバム・チャートで10位を記録。これ以降、オージェイズはPIRを代表するヴォーカル・グループとして長くヒットを量産していく。
3. Billy Paul “360 Degrees Of Billy Paul” [1972]
地元フィラデルフィア出身のジャズ歌手、ビリー・ポール。1960年代からギャンブル&ハフとは親交があり、彼らのプロデュースで数枚の作品を残したが大きなヒットには繋がらなかったが、不倫の男女を歌った「Me & Mrs. Jones」で突如大ブレイク。当時200万枚以上のセールスを記録し、ポップ・チャートで3週連続1位、R&Bチャートで4週にわたりNo.1を獲得した。(グラミー賞も獲得している) このアルバムにはキャロル・キングの「It’s Too Late」やアル・グリーンの「Let’sStay Together」、エルトン・ジョンの「Your Song」(邦題:僕の歌は君の歌)の秀逸なカバーも収録。ボーナス・トラックとして「Me & Mrs. Jones」のライヴ・バージョンを追加収録している。 70年代フィリー・ソウル黄金期の名盤20枚が揃った初心者~マニアまで嬉しいボックス
4. The Intruders “Save The Children” [1973]
1961年にドゥーワップ・グループとしてデビューした4人組コーラス・グループ。ギャンブル&ハフ とは1965年に契約し、1968年にはギャンブル&ハフにとって初のNo.1ヒットになった「Cowboys To Girls」をもたらす。PIR設立と共に移籍し、1973年の本作には、彼らにとって久しぶりのヒット になった「I’ll Always Love My Mama」(R&B 6位)を収録。アルバムはMFSBの流れるようなサ ウンドに乗って、ドゥーワップ・テイストの曲や、ポール・サイモン作の「Mother and Child Reunion」(邦題:母と子の絆)、ギル・スコット・へロン作のタイトル曲「Save The Children」などを 収録。オージェイズと並び、ギャンブル&ハフがもっとも好んだヴォーカル・グループといえるだ ろう。
5. The Tree Degrees “The Three Degrees” [1973]
1963年にレコード・デビューした女性コーラス・トリオ。幾度かのメンバー・チェンジを経て、フェイ エット・ピックニー、シーラ・ファーガソン、ヴァレリー・ホリデイという3人で第一のブレイクを迎え る。1973年、まず本作にも収録されている「Dirty Ol' Man」(邦題:荒野のならず者)のスマッ シュ・ヒットに続いて、MFSB名義でリリースされたテレビ番組「Soul Train」のエンディング曲 「TSOP (The Sound of Philadelphia)」(邦題:ソウル・トレインのテーマ)が全米No.1を獲得。さら に1974年には「When Will I See You Again」(邦題:天使のささやき)が全米2位/全英1位の大 ヒットを記録した。同曲は「東京国際音楽祭」で金賞を受賞し、本国アメリカに先駆け日本でも大 ヒットしている。PIRの在籍期間こそ長くはないが、数少ないPIRを代表するガール・グループとし て鮮烈な印象を残した。※本作は日本未CD化
6. The O’Jays “Ships Ahoy” [1973]
PIRでの2作目となった本作。世の中にはびこる拝金主義を歌ったシングル「For the Love Of Money」や、真正面から奴隷制について取り上げた10分弱の大曲「Ships Ahoy」、ニュー・ジャッ ク・スイング期にヘヴー・Dが歌いリバイバル・ヒットした「Now That We Found Love」はノーマ ン・ハリスの繊細なアレンジが光る。ゴスペル的な荘厳なヴォーカル、緊張感のある演奏、社会 へのメッセージが一体となり、乗りに乗ったフィリー・ソウルの絶頂期を堪能できる一枚である。 結果的に、前作『Back Stabbers』を上回る成功をおさめ、全米R&Bアルバム・チャート1位を記 録し、本作はプラチナ・アルバムに輝いている。 ボーナス・トラックとして「Put Your Hands Together」のロンドンでのライヴ音源を追加収録して いる。
7. MFSB “Love Is The Message” [1973]
PIRの本拠地ともいえるシグマ・スタジオを拠点に活動し、ほぼすべてのPIR作品を支えた凄腕 ミュージシャン軍団、MFSB。ノーマン・ハリス(g)、アール・ヤング(ds)、ロニー・ベイカー(b)を中心 に、メンバーは流動的な大所帯バンド。グループ名は”Mother, Father, Sister, Brother”の略と いわれ、ギャンブル&ハフの思想がそのまま反映されている。1973年からはレコーディング・グ ループとしても作品を発表し、本作ではグラミー賞も受賞している。全米No.1を獲得した「TSOP (The Sound of Philadelphia)」はテレビ番組「Soul Train」のエンディング曲としてもお馴染。ま た、タイトル曲でもある「Love Is The Message」は、パラダイス・ガラージなどNYのハウス・シー ンでは永遠の定番となっていいた。単にハウス・バンドのインスト集と言うにはもったいない名 演揃いだ。
8. Bunny Sigler “Keep Smilin’” [1974]
1941年、フィラデルフィア生まれ。幼いころから教会でゴスペルを歌い、1950年代末にデビュー のきっかけをつかむ。ギャンブル&ハフとは旧知の仲で、1971年のPIR立ち上げ時からのメン バー。歌手として活動する一方、ソングライター/プロデューサーとしても才能を開花させ、オー ジェイズやビリー・ポール、ルー・ロウルズなどPIRを代表する歌手に多くのヒット曲を提供してい る。本作は、PIR第一弾アルバム『That’s How Long I’ll Be Loving You』の収録曲を再構成し、 追加録音をしたもの。自作曲に加え、レーベル・メイトでもあるオージェイズの「Love Train」のカ バーなども収録。 シグラーは1970年代後半に、ギャンブル&ハフとたもとを分かち、NY・サルソウルで「インスタン ト・ファンク」をプロデュースし、ダンス・ヒットを量産していく。
※本作は日本未CD化
9. Harold Melvin & The Blue Notes “Wake Up Everybody” [1975]
PIRでの4作目。シングル・カットこそ少なかったが、アルバム・チャートは9位まで上昇し、チャー ト的にはもっと成功した作品となった。それだけ、アルバムとして見事な出来栄えだったというこ とであろう。それまで恋愛やパーソナルな感情について歌うことが多かったハロルド・メルヴィン &ブルー・ノーツが、同胞を鼓舞する熱いタイトル曲「Wake Up Everybody」を歌い、R&Bチャート で1位を獲得。2010年に、ジョン・レジェンドとザ・ルーツのコラボ作でカバーされていることから も、この曲が黒人社会においていかに重要なメッセージ・ソングかということがわかるだろう。残 念ながら、リード・ヴォーカルのテディ・ペンダーグラスはこの作品を最後に、ソロ活動に移行。 同時にバックを固めているミュージシャンたちもサルソウルに移籍が始まる。まさに第一期PIR の集大成ともいえる力作である。 ボーナス・トラックとして、リミックスの祖・トム・モールトンによる「Don’t Leave Me This Way」の リミックスを収録。
10. Lou Rawls “All Things In Time” [1976]
1933年生まれ(2006年没)、シカゴ出身。高校時代はあのサム・クックと同級生だったというの は有名な話。1962年にキャピトルからデビュー。フランク・シナトラを思い起こさせるヴェルヴェッ ト・ヴォイスで、生涯でグラミー賞を3度も受賞している。 本作はPIR移籍第一弾。なんといっても「You’ll Never Find Another Love Like Mine」(邦題:別 れたくないのに)はR&Bチャート1位、ポップでも2位の大ヒットになった。フィリー・ソウルらしいエ レガントなイントロに導かれ、渋い低音から始まり、サビに向かって盛り上がっていく艶やかな展 開は、エレガントな大人の色気を感じさせてくれるはず。ジャジーな要素を小粋に盛り込んだそ の他の曲も捨てがたい魅力が満載。
11. Dexter Wansel “Life On Mars” [1976]
第2期PIRの最重要人物が、このデクスター・ウォンゼル。1976年頃から、ノーマン・ハリス(g)や アール・ヤング(ds)などフィリー・サウンドを支えてきたミュージシャンたちが、NYの新興レーベ ル「Salsoul」に次々と移籍。その穴を埋めて、さらに新しい風を送り込んだのがこのウォンゼル (key)というわけだ。1980年前後には、ジョーンズ・ガールズやパティ・ラベルらのソングライター/ プロデューサーとしてPIRの再浮上に貢献した。 ソロ・アーティストとしても、スペイシーなジャズ・ファンクをベースにソウルやディスコを織り交ぜ たスタイルで、PIRに4枚のアルバムを残している。いずれの作品でも、女性シンガーをフィー チャーし、メロウな仕上がり。当時よりも2000年代以降に評価が高まっているのも大いに納得が いく。
12. The Jacksons “The Jacksons” [1976]
MOTOWNで一時代を確立した「ジャクソン5」が、レーベルをEPICに移籍し心機一転、グループ 名もシンプルに「ジャクソンズ」に変えて再出発。(ジャーメインはこのタイミングで脱退。)そのサ ポート役に選ばれたギャンブル&ハフは、ポップなダンス曲「Enjoy Yourself」(邦題:僕はゴキゲ ン/R&B 2位・ポップ6位)と、スイートなメロウ曲「Show You The Way To Go」(邦題:愛ある世 界へ/R&B 6位)を提供し、見事に米・英でヒットさせ、ジャクソンズ復活への足がかりを作っ た。その他の曲も、デクスター・ウォンゼルやマクファーデン&ホワイトヘッドらが提供し、ジャクソ ンズを大人のグループに昇華させている。
13. Jean Carn “Jean Carn” [1976]
1947年生まれ、アトランタ出身の女性シンガー。夫だったジャズ・ピアニストのダグ・カーンのも とでジャズを歌うと同時に、EW&Fやノーマン・コナーズら大物からもセッション・シンガーとして起 用されるなどキャリアを積み重ね、1976年にPIRと契約。このデビュー作からシングル・カットさ れた「Free Love」は、ギャンブル&ハフが提供した開放感満点のアップテンポのダンス・ナン バー。明るい曲調と切ない歌詞のコントラストが絶妙!ジーンの情熱的で、思い切りのよい歌 いっぷりに圧倒される。この後も良作をコンスタントにリリースしている。UKを中心に現在も人気 が高く、ブラン・ニュー・ヘヴィーズらにもカバーされている。
14. Teddy Pendergrass “Teddy Pendergrass” [1977]
1950年生まれ(2010年没)、フィラデルフィア出身。もともとはドラマーだったが、ハロルド・メル ヴィンの元でリード・ヴォーカルとして起用され、そのセクシーなバリトン・ヴォーカルと端正な ルックスで次々にヒット曲を量産。このアルバムでソロとして独立し、当時はマーヴィン・ゲイや アル・グリーンらと共に時代を象徴するセックス・シンボル的な存在でもあった。このソロ・デ ビュー作からシングル・カットされた「I Don’t Love You Anymore」(R&Bチャート5位)を筆頭に、 男くさいヴォーカルの裏に潜む哀歓が聴く者の心を捕らえて放しません。ライヴで重要なレパー トリーになっていく「The More I Get, The More I Want」など良曲を多数収録。
15. Lou Rawls “When You Hear Lou, You’ve Heard It All” [1977]
PIRデビュー作となった『All Things in Time』(1976)から「You'll Never Find Another Love Like Mine」(邦題:別れたくないのに)がR&Bチャート1位、ポップ・チャートでも2位のメガ・ヒットを記 録。続く『Unmistakably Lou』(1977)も「See You When I Git There」がスマッシュ・ヒット。まだま だ若い歌手が多かったPIR内で、エレガントな大人のシンガーという地位を確立。本作からも 「Lady Love」という、その後のライヴでも必ず歌われる彼の代名詞ともいえる曲が誕生してい る。なお、この長いアルバム・タイトルは、バドワイザー社の有名な広告のキャッチ・コピーをも じったもので、バドワイザーは当時ルーのコンサート・ツアーのスポンサーでもあった。
※本作は日本未CD化
16. Teddy Pendergrass “Life Is A Song Worth Singing” [1978]
ソロ2作目。ソロ・デビュー作がチャート的に低調だっただけに、R&Bアルバム・チャートでNo.1、 ポップ・チャートでも11位まで上昇し、起死回生のアルバムとなった。当時流行していた“クワイ エット・ストーム”と呼ばれる大人向けのスムースな楽曲を中心にオンエアするラジオ局でかか りまくった「Close the Door」は、R&Bチャート1位を獲得し、今も愛される70年代ソウル屈指の名 曲となった。 その後テディは毎年のようにアルバムをリリースし、精力的にライヴ・ツアーを行いますます人 気を博していったが、1982年、自動車事故により車椅子生活を余儀なくされる。(その後、闘病 生活を経てステージにカムバックを果たす) 2010年にガンのため59才で亡くなった。 本作には、ボーナストラックとして2曲の別バージョンを追加収録。
17. The Jones Girls “The Jones Girls” [1979]
フィリー・ソウルには珍しいガールズ・グループ形式。ダイアナ・ロスやカーティス・メイフィールド らのバック・コーラスも務めたジョーンズ三姉妹グループ。その艶やかなコーラス・ワークは80年 代以降の女性R&Bグループのスタンダードともいえる。 「You Gonna Make Me Love Somebody Else」は三姉妹のキリッとした美声が響き渡るシャープ なダンス・チューンで、後にJay-Zがサンプリングしたことでも有名。また「Who Can I Run To You」は、泣きのメロディが胸を締め付けるバラードで、1995年にアトランタのガールズ・グルー プ、エクスケイプが原曲に忠実なカバーを披露しR&BチャートNo.1の座を射止めた。他にもオー プニングの「This Feeling’s Killing Me」(邦題:恋のフィーリング)などアルバム全篇捨て曲ナシ の傑作。
18. Edwin Birdsong “Edwin Birdsong” [1979]
ロイ・エアーズ率いる「ユビキティ」への参加でも知られるキーボード奏者。本作はPIRでありな がら、NY録音という異色作で、コズミックなファンク/ディスコ/ブギーを前面に押し出し、他の PIR作品とは一線を画す強烈な印象をもたらす。近年、あのダフト・パンクが「Harder, Better, faster, Stronger」でサンプリングした「Cola Bottle Baby」をはじめ、「Phiss Phizz」、「Lollipop」な どガラージ・テイスト満載の楽曲を中心に再評価の機運が高まっている。ある意味、発売当時よ り現在の方が輝きを放っている作品ともいえるだろう。なお、エドウィンはPIRからはこの1枚だ けで、NYのSalsoulに移り作品をリリースしている。
19. McFadden & Whitehead “McFadden & Whitehead” [1979]
フィラデルフィア出身のジーン・マクファデン(1948年生・2006年没)とジョン・ホワイトヘッド(1948 年生・2004年没)は1960年代にオーティス・レディングに見出され、プロのシンガーとして活動を 開始。オーティスが亡くなった後は地元フィラデルフィアに戻り、PIRお抱えのソングライター/プ ロデューサーとして、オージェイズの「Back Stabbers」(邦題:裏切り者のテーマ)や、ハロルド・ メルヴィンの「Wake Up Everybody」など多くのヒットを生み出した。 アーティストとしてデビューにあたる本作の魅力は、ダンス・クラシックとして今もフロアで愛され る「Ain’t No Stoppin’ Us Now」(邦題:恋はノン・ストップ/R&B/ポップ・チャート共に1位)に尽 きるだろう。スタイルの異なる二人のヴォーカル=マクファデンの豪快なシャウトとホワイトヘッド のテナーが見事に溶け合った躍動感あふれるフィリー・ダンサーは、PIRを語る上で欠かすこと のできない傑作だ。
20. Patti Labelle “Im In Love Again” [1983]
1944年、フィラデルフィア生まれ。1960年代からブルー・ベルズ~ラベルのリード・シンガーとし て、「Lady Marmalade」など多くのヒット曲を生んだパティ・ラベル。その歌いっぷりの良さは、ア リシア・キーズやマライア・キャリーなど多くの女性R&Bシンガーたちがリスペクトしている。 本作はソロ6thアルバム。R&Bチャートで1位を獲得した珠玉のバラード「If Only You Knew」や、 2002年のネリー feat.ケリー・ローランドの「Dilemma」で引用されたラヴ・バラード「Love, Need & Want You」など、アルバム全篇ドラマチックに歌い上げるパティの歌唱力は圧巻のひと言。プロ デューサー陣も、トム・ベル、ギャンブル&ハフ、バニー・シグラー、デクスター・ウォンゼルなど フィリー・ソウルのオールスターが結集。