ボディ・マッピングとは、自分の頭に描かれている自分の肉体構造と現実の肉体構造のズレを解消し、効率的で自然な動きを獲得することで、その際に必要な自己観察や自己分析と肉体動作の調整を実践する方法論がアレクサンダー・テクニークである。頭、脊椎、腕、脚などの基本的構造や自然な状態を知り、自分の肉体の負荷を取り去る。そして、演奏に適した姿勢、四肢の状態、筋肉の使い方、骨格のあり方、呼吸法などを習得する。肉体の各部同士のバランスを保つように、脳と肉体の間で情報をフィードバックさせることが重要である。
イラストを多く取り入れ、平易な実践を促す入門書としてうまく構成されている。音楽家のポテンシャルを高め、音楽教育者の参考になるのはもちろんだが、リラクゼーションや癒しのためだけでなく、音楽以外のさまざまな分野で役立つメソッドである。スランプからの脱出法にもなる。精神と肉体の協働性の大切さは、多くの人が納得することだろう。(松木晃一)