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厭世フレーバー (文春文庫)

価格: ¥580
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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父親失踪後の家族それぞれの様子 ★★★★☆
父親失踪後の家族それぞれの様子を描いています。「14歳(次男)」「17歳(長女)」「27歳(長男)」「42歳(妻)」「73歳(祖父)」の5章です。5章ありますが、それぞれにつながりがあります。14歳(次男)は、陸上部をやめて、新聞配達をする。17歳(長女)は、おでん屋でアルバイトに励む。27歳(長男)は、失業しているが何とか家族に金を入れようと苦心する。42歳(妻)は、酒びたりになって、一切の家事を放棄する。73歳(祖父)は、ますますボケがひどくなる。

父親のことは、特に「42歳」の章にかかれています。とにかく変わった人だなという印象があります。

一見するとそれぞれにがんばっているんだけど、バラバラなため、なかなか相手に認めてもらえない。結局、父親は帰ってこないし、どこにいるのかわからないのであるが、あることで家族が団結するのである。最後はハッピーエンドで終わるのがいいかな。全体的にはあまり悲壮感なく読めるかなと思う。
面白い展開の中に見る家族の意味! ★★★★☆
父親が会社をリストラされ失踪。残された家族の再生の物語。章ごとに語り手が変わり,物語も年齢相応に深くなっていきます。長男の章の後半あたりから,家族の秘密が徐々に明らかに。

回想でしか出てこない父親のキャラ設定が,ぶっ飛んでて面白い。「世界を救う」という彼の目標が,どういう形で実現したのか。その内容が個人的にはツボでした。「人生を賭ける」という言葉を安易に使ってはいけないな,と思わされます。

父親のリストラをトリガーにして「時代に負けず,前を向こう」というメッセージを込めているところが,この作者らしいと感じます。

家族それぞれの想い ★★★★☆
リストラされた父が失踪 14歳の次男は陸上部を辞め、新聞配達を始める 17歳の長女は優等生を辞め、深夜までバイト 27歳の長男は実家に戻り、家族に内緒で肉体労働 42歳の母は家事を放棄し、酒浸り 72歳の祖父はボケが進行し、何度も食事を求める 1章ごとにそれぞれの秘めた想いや過去が明らかにされていき・・・

現状だけを見て、嘆いていても仕方がないのです。過去があって、現在があり、未来へ繋がるのです。何かのきっかけで、これに気づいたとき、軌道を外れた人生が、修正されるのです。


かなり深刻な状況に思える一家ですが、テンポのよい文章と、アクのないキャラクターのお陰で、楽しく読める小説です。
家族一人一人しっかり考えて生きてるんだ ★★★★☆
人の褌でレビューですが、以下のPod Catsingで聞けます。
http://dl.bmcdn.com/fmtokyo/podcasts/tokyo/avanti/avanti_vol29.mp3

ある日突然父親が蒸発。
家族一人一人の一人称で各章が語られていく作風は斬新。
新作を激しく希望 ★★★★★
本書は、家族五人のそれぞれの視点で話が進められてゆく。正直ケイとカナの第一章、二章を読んでる時点では、おもしろいのだが前作ほどではないかなと思っていた。だが転機は第三章のリュウが語り手になったときに訪れた。ここで話は大きくうねる。作者の本領発揮という感じだった。アイドル状態だったのが、いよいよ始動開始という感じだ。第一章で棚上げだった事柄もここで思わぬ方向から解明され、章の終わりではささやかで笑ってしまうサプライズもおきる。続く第四章の薫のパートでは、失踪した父親との馴れ初めが綴られる。ここは笑ってしまった。おおいに笑ってしまった。そしてラスト、ボケ老人の新造がトリを務めるのだが、ここへきて物語は一挙に深く深く心に食い込むことになる。ここで語られる新造の生い立ちがホント読ませる。トーンまでがガラリと変わってしまう。この家族はほんとワケありなのだ。普通じゃない。こんな家族にはそうそうお目にかかれない。ゆっくりと明かされる新事実には、悲劇の匂いが付きまとっている。にも関わらず、やはりこの作者の手にかかればそういう物語も一転して暗さの欠片もない明るい世界になってしまうのだ。
本書はハッピーエンドで幕を閉じる。いいね、いいね。これだから好きなんだ。卓越したユーモア、悲しいはずなのに明るい世界、ポジティブな波がどんどん押し寄せてくる。
三羽さん、読み終わった瞬間に次の作品が待ち遠しくなってしまいました。はやく新作書いてください。