「21世紀の資本」の概説本ではない
★★★★☆
時期が時期だけに、「21世紀の資本」の公式概説書を期待されている方がおられるとしたら、それは違います。
あくまでこちらは、新聞へのコラム記事をまとめたものです。
ただし、この本を手に取られる方で理解されていない方はおられないでしょうが、この国ほど社会階層を関係しないで新聞が購読されている国はなく、大抵は、インテリ向け、大衆向けの新聞は分けて出版されているものですから、「たかが新聞のコラム」と、日本の新聞の糞みたいなものを想定されると痛い目にあう重厚なものです。
ただし、翻訳者は、文学部出身で、経済関連の翻訳は多いようですが、テクニカルタームの処理など、誤訳が心配です。
歌手活動を休んでパリの音楽院でクラシックピアノの留学生をしていたKANさんあたりに翻訳してもらえた方が、誤訳も愛嬌と楽しめたのかもしれません。