2008年世界経済危機、オバマ大統領就任、多額の税金をつぎ込んだ銀行救済策、アメリカの健康保険制度改革、アメリカ右派ポピュリズムの反オバマデモ、パレスティナ、ボリヴィアのモラレス大統領に立ちはだかる困難…出版前のほぼ一年以内に起こった出来事に対する時評を編集してできた本のようなので、わりとすぐ読めます。「マルクスは今でも通用するか」という問いは、問いの方向が間違っているのだ、と彼は言います。「今起こっている事をマルクスの目で見ればどうなるか」というのが真面目な思想家の問いなのだから…。文言から察して、主にアメリカの読者に対して書かれているようです。確かに近年アメリカのメディア（NYタイムスなど）に出ることも多いジジェク。単にヨーロッパの知識人がヨーロッパの聴衆に向かってアメリカの悪口を言う、というのでないところに好感を持ちます。日本についてもちょっと触れられています。私は、結構当たってる、と思います。