YC-03S/YC-03Mの発電方式は最も安定した性能が得られるオルトフォンタイプを採用しております。しかしその発電コイルには極太の線材を鉄心に対して最も効率よく巻くことによって内部インピーダンス1.2Ωで0.25mVのかなり大きな値を得ています。

YC-03M/Sは1.2Ωというインピーダンスですが、それらの昇圧には一般的な3Ωの入力インピーダンスのトランスで何ら問題なく使用することができます。また、それらの磁気回路はネオジウムマグネットを採用し、純鉄のヨーク・プレート・ポールピースによって従来よりも高い磁束密度を得て、大きな出力電圧を得ることに成功しています。

YC-03Mはアルミパイプのカンチレバーに丸針という構成で中音域の充実した力強い音が特徴です。

モノラル専用YC-03Mは緻密で美しいツゲ材をボディーに使用して軽快で反応の早い音を目指しています。両者の素材は共に木材の中でも特に秀でた特性を持った素材でいろいろな楽器などにも使用されています。モノラル仕様のYC-03Mはステレオ仕様の再生器機で標準的使用できるように2個の巻線を並列に巻いて4個のピンに2回路分取り出しています。これによってステレオ装置で2個のスピーカーによるモノラル再生がお楽しみ頂けます。

カートリッジ内部のテンションワイヤーに極太のピアノ線を採用していることです。テンションワイヤーとはMCカートリッジのカンチレバーと発電コイル、磁気回路を結合する振動系の中心に位置する支持用の部材です。このテンションワイヤーは一般的なカートリッジが0.06mmφから0.08mmφのピアノ線を採用しているのに対して弊社では0.14mmφの太さのものを採用しています。その断面積はなんと約3倍にもなります。通常このテンションワイヤーは針先の振動を受け止める部分で、細くすればするほどハイコンプライアンスになり、共振周波数が上がり、高域限界を延ばすことができます。そのため一般的には細いワイヤーが採用されますが、腰のないエネルギー感の弱い音になるため、弊社ではしっかりした腰の強いエネルギー感に溢れた再生音を得るため、あえて太めのテンションワイヤーを採用して実在感のあるサウンドを目指しました。