初版よりもだいぶボリュームアップしていて、内容も充実。
★★★★★
この著者はイギリスで心理学を専門としており、統計が好きで本まで出しちゃった!という自他共に認める「心理統計オタク」です。ホームページで写真を拝見しましたが、まだお若い!素晴らしいことに、統計に関する質問も、e-mailで答えてくれるサービスのよさ!(もちろんコミュニケーションは英語)返事もわりとすぐ帰ってくるし、とても気さくで頼りになるお兄さん、といったカンジ。著者のことについてはさておき、この本はかなりやさしく、そして実用的に書いてあります。
読者の声を大切にするから読者のニーズに答えられる本が書けるのでしょう。良くわからない定理を、重箱の隅をつつくような冗長な解説で読者を飽きさせるということはなく、実用的で楽しめる1冊です。
丁寧に手順を説明し、もっと詳しく知りたい人のために文献もきちんと紹介している。最近の統計の研究文献にも明るく、語り口が軽快で読みやすいです。例も、バイアグラの効果とか、猫が行方不明になる確率だとか、面白いものばかりで読んでいて楽しい。インプット画面も掲載しているから手取り足取りで初心者にはありがたいかもしれません。SPSSのアウトプット画面と共に説明の流れもよどみなく、効果量の求め方と論文への記載の仕方も軽き手ほどき。アウトプットの表のそれぞれの解説も丁寧。効果量はコーエンのdではなく、主にピアソンのrを使用しています。英語論文を書く際にはかなり参考になります。
難をいえば、イラストが大きすぎるし無駄なおしゃべりが多い印象。教科書として書いてあるためか、各章の最後にはおさらいのページがあって、研究者など、すでに知識がある者にとってはちょっとしつこいと思うかも。紙質が悪く、前のページが透けて見えるのが気になる。私はあまり使いませんでしたが、CD-ROM付きですから、授業の教材としては最適かも。