まず、マーケティングのセオリーから逸脱している。セオリーであるセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング・マーケティグミックスという一連の流れが示されていないし、マーケティングの4Pについても5Pという概念で説明されている。著者は、既存の論理に対してチャレンジしているのか、既存の論理が理解できていないのか不明であるが、もし、既存の論理に対してチャレンジしているなら、その根拠を十分に示すべきであろう。
次に、論理が構造的でない。各章では、それぞれもっともらしいことが書いてあるが、章ごとの関係が曖昧なため、全体として、すっきり整理されていない。
最後に、具体例が少ない。マーケティングを学ぶ楽しみである、実例による説明が非常に少ないため、読んでいて面白くない。
「価値」の創造を見失っている。本書ではまず、「商品」を作るの
ではなく、「価値」を創造する、ことを主張しているが、まさしく
そのとおり。それでは「価値」とは何か。「価値」とは顧客のさま
ざまな問題を解決し、欲求を満たしてくれるものである。そこに集
中した解答を効果的に提供することが重要であるが、その方法がわ
かりやすく紹介され、実践しやすい。
そして、起!業!!が軌道に乗ってきたいま、本書の構成でもある「価
値」「仕組み」「成長」のサイクルを回す原動力こそが起業家たる
所以であることが良くわかる。特に「成長」が新たな「価値」を生
み出し、次のサイクルをつくっていくには、「やり続ける」能力
(技術や精神力)が不可欠であることを痛感している。
若い起業家にはわかりやすく、本書を読めば、創業時の企業成長
が数年は早まること請け合いである。