科学者さえも苦しめる物理現象を解明できるのは、オムニパシー能力を持つひとりの少女だけだった
アメリカのオクラホマをはじめとして、地球の6箇所に時間重力異常地帯〈スポット〉が出現した。直径10マイルの地帯に電磁誘導現象が起こり、重力異常が生む低気圧が全地球的な気候変動を作り出し、地球に危機が迫る。〈スポット〉は幾科学的に並び、自然現象とは思えなかった。あらゆる科学調査は失敗したが、超感覚知覚のオムニパシー能力を持つ11歳の少女フェブラリーだけが、ある仮説で謎を解明する。現地調査隊と共に彼女は〈スポット〉へと出発。その中では、時間が200倍に加速され、UFOが飛びかう驚くべき世界が…。
●山本弘(やまもと・ひろし)
作家。元「と学会」会長。日本SF作家クラブ会員。1956年京都府生まれ。1978年『スタンピード!』で第1回奇想天外SF新人賞佳作に入選。1987年ゲーム創作集団「グループSNE」に参加。作家、ゲームデザイナーとしてデビュー。2003年『神は沈黙せず』が第25回日本SF大賞の、また2007年発表の『MM9』が第29回日本SF大賞の候補作となり、2006年の『アイの物語』は第28回吉川英治文学新人賞ほか複数の賞の候補に挙がる。2011年『去年はいい年になるだろう』で第42回星雲賞を受賞。