英文からわかるウルフのリリシズム
★★★★★
まず、我々日本人にあまり馴染みのない英語(「無神論者」とか)がけっこう出てくるのです。ですが・・・それはあまり問題じゃないでしょう。
というのも、日本語でしか表現できない事象があるのと同じで、英語によってでしか表現できない事象があってあたりまえだからです。ですが、本書「灯台へ」は小難しい小説ではありません。詩的表現に溢れた描写がたくさん出てきて、ページをめくるごとに、なぜだか読んでいるこちら側が心地よい感じに浸れてしまうのです。この辺、さすがウルフだ、と感心してしまいます。
話はそれますが、私は同じウルフの「ダロウェイ夫人」にはあまり感心しませんでした。というのも、なんだか回りくどい表現でいっぱいだったからです。しかし「灯台へ」はそうではありません。ページごとに綺麗な表現がちらほら出てくるのです。
人物描写、情景描写、どれとも満点をつけたいです(偉そうですねえ。我ながら)。こんな素敵な小説を英語で読めて、嬉しいとしかいいようがありません。
お値段も手頃なので、時間のある方は購入して読んでみるといいでしょう。