スイスのアルプスに住む気むずかしい祖父のもとに預けられた少女ハイジの物語。ヨハンナ・スピリの名作が、オリジナルのまま美しく装丁されハードカバー版として復刊された。『Heidi』（邦題『アルプスの少女ハイジ』）は、初版が刊行された1880年からいまもかわらず読者を魅了してやまない。単に子ども向けの物語というだけでなく、普段はぜいたくにも当然のことと考えている「自由」がどれほど不確かなものかを考えさせてくれる物語でもある。祖父のもとで楽しく生活していたハイジは、病気がちな親戚の少女の話し相手として、静かな山から引き離され、自由を奪われてしまう。それでも、終わりよければすべてよし、ほんわかした温かな気持ちで読み終えることができる。スピリの物語は決して読者を飽きさせることはない。本書はまさに魅力的な1冊だ。（Naomi Gesinger, Amazon.com）