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Hegemony and Socialist Strategy: Towards a Radical Democratic Politics (Phronesis)

価格: ¥1,655
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Verso Books
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重要な問題提起をしている本だと思うけれども・・・ ★★★☆☆
 300ページちょっとの本ですが、読みこなして理解するには、相当根気がいるかもしれません。内容もさることながら、その訳文が(あるいは原文も?)読みにくく問題があるように思えました。どう問題なのかは、訳者解説で訳者自らが次のように述べています。

・・・・・ラクラウたちは特にさまざまな用語の使用においてあまり厳密ではなく、一貫性に欠けているため、適切な訳語を当てるのに大変苦労した。また、定本にした原書は英訳であって、オリジナルな原稿はおそらく、スペイン語および(あるいは)フランス語で書かれていたはずである(p.312)

 訳者は最終段階でスペイン語を不十分ながら参照できたと言っている(ibid.)ものの、せめてオリジナルが何語でかかれていたのかは調査してほしいものです。また、定本とした英訳も、「文法的に意味が取りにくい(時にはまるで取れない)箇所も多く」(ibid.)と訳者が述べる代物のようです。そうなると、やはり、オリジナルから直接翻訳するべきだったのではないでしょうか。
マルクス主義の運動と理論両方の反省としての、ひとつの到達点 ★★★★☆
20世紀前半から68年までのマルクス主義運動と、その根幹にある理論双方を深く問題化し、それに代わる新たな社会研究理論を構築したものとして、ひとつの到達点的仕事ではないだろうか。

みどころはやはり三章。敵対性の理論など、彼ら独自の非本質主義的社会研究のための方法論が次々現れる(逆に一章はマルクス主義の歴史がある程度わかってないとしんどいから後回しも一つの手かも)。

「あるもの」と「そうでないもの」の関係(矛盾)でも、「われわれ」と「やつら」の関係(単純な対立)でもなく、社会的利害の中で何者かとぶつかりつつも、その衝突のなかで己のアイデンティティの一貫性が崩れる関係(敵対性)という図式は、階級主体を教条化し本質化した党派主義的マルクス主義運動を強く批判する、新たな社会ヴィジョンである。

ただ、彼らの非本質主義、アイデンティティの非固定化が行き過ぎて、逆に社会を織りなすさまざまな要素が均質化されている気がする。ここらへんが、ポストモダニズム的な知の戯れの傾向にもつながっていくところなのだろう。彼らの議論は一つの大きなたたき台ではあるが、たたき直されるべきところはなお多いと思う。

しかしながら、現実の社会において、彼らの言う「敵対性」は未だ存在しえていないのではなかろうか。あるのは「われわれ」と「われわれでないもの」の関係と、「われわれ」と「やつら」の関係のみである。