他に追随を許さなかったドイツ航空技術
★★★★☆
1943年以降、守勢の側に立たされたドイツは、強ち短期間で試作計画機の開発が進展したかの様に捉えられているが、急速なジェットやロケットエンジンの開発と、空気力学の解明といった、言わば時代の進歩に伴い、34(昭和9)年頃ドイツ航空技術陣は世界に先駆け、高速風洞や研究施設を整備充実させ、本格的な高速飛行の研究を既に始めていた。後退翼や前進翼に加え可変翼、無尾翼、デルタ翼が、ドイツの存亡を懸け、彼らの情熱により精力的に行われた事を無視する事は出来ない。何故なら、戦後連合国によりこれらの研究データが収集され、その兵器に反映されているからだ。ドイツは我国同様、資源の枯渇と工業力の差で敗戦はしたが、本機から得られた航空技術は60年以上経つ今日でも脈々と根付いているからこそ、完成はしなかったものの、我々に興味を抱かせ続けている。それが何かを、本書からご満悦して戴ければ幸いです。