まず、活用されることによって保全されてきた「里山」という環境を見直し、その重要性を示します。
次に、NPOなどの市民によって管理する際の成功例、苦労話、失敗に至るパターンを示し、再生への道筋を明らかにします。
「里山」とは何か、保全活動はどのように進めればよいかについて、取っ掛かりを得るには十分な本だと思います。
ただ、自然科学的な知見に関する記載は、あまり厳密ではありません。それは、他の専門書を見て補いましょう。新書サイズでは止むを得ないことです。
そんなもんだと思って読めば面白いと思うが、これに書かれている情報が全て科学的に正しいとは思わない方がいいと思う。
本書では、隔離する自然保護ではなく、人や他の生物とのバランスを保ちながらどう関係を築いていくかという「関係論」を提示しています。
私自身も「里山クラブ」なる会に関わりを持っていますが、たびたびこの本を取り出してヒントをもらっています。