「クローン技術に反対であれば、それから起こる医療技術の進歩を今後享受するのは偽善だ」
と筆者は訴える。
著者の描く未来は明るい。クローン技術により死と病気がなくなり、ナノテクノロジーにより、農業、工業、「労働」がなくなる。クローン技術、クローン人間に対する反対意見への反論も爽快に展開されていて説得力がある。
インターネットが若者にとっては宗教であり、国境を越えて人と人とを結びつけるという視点にも同感だ。
地動説を唱えると火あぶりの刑になった中世。
そして現代、生命を創造するクローン人間作りはなぜ法律で罰せられるのか。人殺しのための化学、生物、核兵器には倫理委員会さえないのに。モラルの面でいかに私たちが原始状態にいて、政治や既存宗教に毒され麻痺しているかがわかる本。